岩下 圭一 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
実家が栃木県の足利市で商売をしていたのですが、叔父が中央大学法学部出身だったので、白門会の関係の弁護士の先生が実家に出入りをしていました。中高生の頃だったのですが、仕事内容は分かりませんでしたが、そういった人達の姿を見ていていつの間にか弁護士を目指すようになりました。
印象の残っている案件(事件)
ゴミ焼却炉談合事件というのがありまして、平成10年9月17日に公正取引委員会の立入検査があった事件であり、審決の取消訴訟や損害賠償請求訴訟等を含めると最終決着が平成20年代半ばまでかかった事件です。
一般に、カルテルや談合を行った企業に対して、公正取引委員会が課徴金と呼ばれる行政罰的な制裁を課すのですが、この事件は5社(川崎重工、日立造船、タクマ、三菱重工業、JFEエンジニアリング)への課徴金が総額270億円になるという、令和元年のアスファルト合材価格カルテルの400億円の事件が起きるまで日本国内の独禁法違反事件の中で最大の事件でした。
課徴金もさることながら、悪質な独禁法違反事件が起きた場合に刑事告発がされるのですが、私共の弁護が功を奏し、5社とも刑事告発を免れて依頼企業3社を弁護できたという点で記憶に残っています。
仕事の中で嬉しかったこと
弁護活動が功を奏して依頼者の期待に応えられた時です。刑事告発を阻止することは容易な事ではなく、それが成功してゴミ焼却炉事件のほかいくつかの事件(平成19年の塩ビ管カルテル犯則事件等)で依頼者の利益を守れた時は本当に嬉しかったです。
弁護士になって大変だと感じること
独占禁止法違反事件は企業の存亡に係る莫大な課徴金や刑事告発などの重大な不利益を受ける事件が多く、争うとの依頼を受けた場合には、公正取引委員会や特捜部など公権力との戦いで合法的に依頼者の利益を守るというのが本当に大変です。先ほどの話に戻りますが、だからこそ上手くいった時は嬉しいのです。
もっとも、平成18年以降は、リーニエンシー(課徴金減免制度)導入により、公正取引委員会の調査にいかに協力しながら依頼者の利益を守るのかという局面も増えてきました。
休日の過ごし方
急ぎの仕事があると休日を返上して仕事をしておりましたが、普段はジムに行ったり、お客様とゴルフをしにいく時もあります。とりあえず休みの時はすべてを忘れるようにして過ごしております(笑)。
弁護士としての信条・ポリシー
やはりプロですから、プロとして、可能な限り依頼者の利益・権利を守るということ、合法的な範囲内で出来るだけの対応をするというのが一つのポリシーです。
依頼者に対して気をつけていること
独禁法関連に限った事ではないのですが、一般に依頼者は自分に都合の良いことのみを言いがちなので、依頼者の言う事を鵜呑みにすると足をすくわれる事も稀にあります。ですから、都合の悪い事も含め、できるだけ事実関係を隠さず言ってもらっています。なぜなら、有利不利問わず私がすべてを認識していないと適正な弁護が出来ないからです。
弁護士の力は、多くの経験を通して依頼者が事実関係を隠さず説明をしているかを見抜き事件の全体像を推認し、いかに的確な弁護方針を描くことができるかで決まると考えています。
関心のある分野
実は私が今専門にしている独禁法の分野は、学生の頃は勉強した事はありませんでした。たまたまこの事務所に入って1年目から大きなカルテル事件に関わるようになり、独禁法は仕事を通して勉強してきたという感じです。
大学では刑法のゼミ出身でしたので、今の仕事で刑事分野での弁護もあり、刑法や刑事訴訟法は嫌いではないです。
今後の弁護士業界の動向
司法試験改革で人数が増えましたので、若い先生方を中心に今まで以上に競争が激しくなると思います。ある程度専門分野を持たないと弁護士としても苦労する時代になったと思います。
今後のビジョン
独禁法は平成17年以降でも4回改正されており、とりわけ直近の令和元年改正法は課徴金制度などで極めて大きな改正がなされており、従前と異なる新たな実務が始まったとも言えますので、それにしっかり対応して行きたいと思います。