浅見 隆行 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
もともとは弁護士ではなく、検事志望だったんです。中学生の時にリクルート事件が起こりまして、検察がガサ入れに行く場面を見て、「検事かっこいい!!」と思ったんです。さらに伊藤栄樹元検察総長が書いた、『秋霜烈日』という本を読んで、「これが正義だ!!」と感激しました。巷の窃盗犯とかを捕まえるのも正義だと思うんだけれど、私は組織での悪に対して立ち向っていきたいなと思いました。
そこで、司法試験に受かりやすい大学はどこか、その大学に入るための高校はどこか、という風にして志望高を決めました。この時はずせなかったのが、スポーツです。私はスポーツ観戦が大好きなので、スポーツが強いところじゃないと嫌だった(笑)。全ての条件を満たしたのが早稲田実業であり、早稲田大学でした。
高校生になってからは佐川急便事件というものが起きて、田中派の金丸信のところに検察がガサ入れに行く場面があって、検察かっこいいという思いがますます強くなりました。
司法試験合格後の修習期間でも前期では検事志望でした。検察教官にも気に入られていたんだけれども、実務修習に行ってからがつまらなかった。窃盗とか、痴漢とか、警察が捜査した事件を繰り返すだけだったのです。私は組織的な犯罪の方に興味があったから自分にマッチしなかったんですね。
ちょうど、実務修習の時お世話になっていた弁護士の先生が、企業法務の先生だったんですが、企業に対してアドバイスして悪いことをさせないようにする姿を見て、自分がやりたいのはこっちじゃないかと思いましてね。それで検察教官には一言も断らずに弁護士に志望を変更してしまいました。後で教官には怒られましたが(笑)。
仕事内容
一言でいえばコンプライアンスという仕事です。これは企業に不祥事を起こさせないための危機管理であり、もし起こってしまった場合には正しい解決に導いていく仕事です。
弁護士になり、この仕事をして分かったことは、問題が起きたときに企業は正しいことをやっていても、社会や消費者にうまく伝わっていないことが多いということです。何かあるとメディア、ネットで面白おかしいところだけ取り上げられて批判されてしまいます。これは消費者にとっても良くないですよね。
そこで、問題を起こした企業の広報活動にかかわったり、問題が起きる前にセミナーを行ったりと、企業の情報をうまく世の中に伝えられるようにサポートもしています。
仕事で嬉しかったこと
このような危機管理の仕事というのは、「何も起こらなかった」というのが成果なんです。だから、何も起こらずにスムーズに行った時が一番嬉しいですね。担当者の人と、ことが終ったあとに「何も問題なくて良かったね」「大きな騒ぎにならずに良かったね」と言い合える瞬間がいいですね。
大変だと感じること
会社というのは利益を上げるのが一番の目的なので、私達弁護士の言っていることを「きれいごと」と言われることがあります。それが悔しいですね。
「きれいごと」と利益がマッチすることが一番良くて、私達は「きれいごと」が利益につながるようにする仕事をしているのです。それを否定されるのは悔しいし、そういう時に現場の人に納得してもらうのが大変ですね。
休日の過ごし方
3月から10月まで、週末はほぼ野球場に通い詰めています(笑)。高校、大学、社会人の試合を見に行きます。なんでプロ野球じゃないかって?プロ野球はできあがっちゃっててつまらないんだよ(笑)。アマチュアのプレーは「ここをこうすればいいのに」とか考えながら見られるから楽しいんだよね。
あと、プロ野球はリーグ戦でしょ。中にはこの試合は負けてもいいやみたいなところがあるよね。高校野球なんかは一発トーナメントで絶対負けられないという雰囲気があるから楽しい。
弁護士としての信条
事務所のHPにも載せていますが、ちゃんとまじめなことをやっている人がバカをみない世の中にしたいです。企業が悪いことをやっていたらその企業はきちんと責任を負わなければならない。企業が悪いことをしていないのだとしたら、企業を守る。
よく企業側の弁護士、消費者側の弁護士というように分けて、企業側の弁護士は金持ちの味方だと言われることがありますが、そういうことではないのです。企業から相談を受けた場合でもその企業が悪ければ「こうしないとまずいよ」と正すのが仕事です。もしそれが受け入れられなければ、そのような企業の話は受けません。
依頼者に対して心がけていること
一番気を付けているのは法律用語をほとんど使わないようにするということです。難しい用語を使っても正しく理解してもらえませんから。依頼者の理解と自分の言っていることにギャップが生じてしまったら、相談に来てもらった意味もないし、相談料も無駄になってしまいますからね。
あとは、抽象的なアドバイスで終わるのではなく、具体的な結論の形を示すということです。例えば、お客さま宛にで手紙を書くような場面では、「このような趣旨で書くといいですよ」で終わるのではく、手紙の具体的な文面まで示すようにしています。
悩みを抱える方へのメッセージ
弁護士とは一生かかわりあいにならないことが一番幸せでしょう(笑)。でもトラブルがあったら気軽に相談してほしいと思います。これからは弁護士の数も多くなって、サービス競争時代になるでしょうから、敷居も低くなっていくはずです。とにかく早めに相談してほしいですね。
トラブルというはこじれてしまうとどうしようもなくなって、弁護士でもどうしようもなくなる場合もあります。トラブル=弁護士ぐらいに思ってもらえるといいと思います。