尊敬できるのは、こんな裁判官だ!「リアル家裁の人」「弁護士にも気遣い」…全国の弁護士に聞いた!「問題がある裁判官」たちVol.3
弁護士ドットコムタイムズでは、2021年7月3日に全国の弁護士にアンケートを実施し、511人から回答を得た。2021年9月号の雑誌に掲載した「特集:全国の弁護士に聞いた!裁判所で見た『問題がある裁判官』たちー調査結果編ー」を4回にわけて掲載。 3回目は、尊敬できる裁判官についての結果を紹介する。 ※画像はイメージ(shrimpgraphic / PIXTA)
尊敬できる裁判官「被告人の更生に向けて弁護人以上にあついメッセージを送る」
「尊敬できる人はいない」「裁判のIT化で裁判官も早くAIになればいい」という意見もあったが、問題がある裁判官しかいないわけではない。尊敬できる裁判官について聞いたところ、実名や具体的なエピソードも交えて、177人から回答が寄せられた。
以下に、寄せられた「尊敬できる裁判官の実例」の一部を紹介する。
【当事者に寄り添う裁判官】
「当事者の主張に真摯に耳を傾ける」
「当事者の気持ちに配慮しながら、法的見解を伝えてくれる」
【はるか上をいく】
「代理人が説得できない当事者すら説得してしまう」
「弁護士よりも記録を読み込んできている」
「被告人の更生に向けて弁護人以上にあついメッセージを送る」
【弁護士にも気遣い】
「相手方の主張に法廷内で激昂してしまい、法廷外のベンチに座っていると、裁判官が横に座り、親身に言葉をかけてくれた」
「和解成立時に両代理人をねぎらってくれた」
【説得力と丁寧さ】
「ここまで書かれては仕方ないかと納得するような判決を書く」
「記録を丁寧に読み、論理的な判断をする」
「提出書面を読み込み、双方に偏りのない訴訟指揮をする。本庁の部長は信頼できる方が多い印象がある」
【リアル「家裁の人」】
「少年事件で、家庭裁判所調査官の意見が保護観察相当であったが、少年に丁寧に質問し、あえて不処分とした」
【謙虚な姿勢】
「過払いの時代に、推定計算などをマニアックにおこなっていた時、裁判官が『ついていけていない』と自ら表明。しかし、書面提出のやりとりをしていく中、最終的には、きちんと把握して、立派な判断をされた。上から目線のない、良い裁判官だった」。
尊敬できる「弁護士任官の裁判官」に出会った弁護士も
実名をあげた意見として、「ほとんど検察官の言うとおりになりがちな刑事裁判において、無罪判決を出し、その後も無罪になる」などの理由で「木谷明裁判官」のほか、「いろいろな意見がありますが、権力に屈せず自身の意見を述べることについて戦い続けている態度には敬服する」などの理由で「岡口基一裁判官」の名前があがった。
また、尊敬できる裁判官として「弁護士任官の若い刑事裁判官(名前不明)」をあげた弁護士もいた。理由について、次のようにコメントしている。
「自白事件について、多くの裁判官が形式的な訴訟指揮と定型的な判決に終始するが、被告人に対し、動機や経緯、反省の深さを探ろうと積極的に補充質問をおこなっていた。しかも、決して上からの押し付けではなく、たとえ不合理に思えようと被告人の言い分に耳を傾けようという態度が見られた。判決文でも、定型文ではなく、自分の言葉で善情状と悪情状を整理して書かれており、被告人に対する感銘力もあった」