依頼者の納得感を何よりも大切に、医療過誤事件に取り組む
小説の主人公に憧れ、検事を目指す
ーー弁護士を目指した理由について教えてください。
昔から推理小説を読むのが好きで、高木彬光の『検事霧島三郎』を読んでから検察官という職業に憧れるようになりました。高校生の頃には法学部へ進むことを決め、せっかく法律を学ぶのなら司法試験を受けてみようと考えるようになったんです。
弁護士になろうと決めたのは、司法試験に合格して司法修習を受けていたときです。当初は検察官になってもいいなと思っていましたが、日々事件処理に追われる検察官よりも、自分の働き次第で依頼者に喜んでもらえる弁護士という仕事により魅力を感じるようになったからです。
ーーどのような学生生活を過ごされましたか。
中学生の頃はバスケットボール部、高校生の頃は合唱部、大学時代は軟式野球サークルと、さまざまな分野にチャレンジしていました。
合唱部ではセカンドテノールを担当していて、東京都大会に出場し、NHKホールで歌ったこともあります。現在もOBで結成された合唱グループに所属しています。コロナが収束したらまた活動を再開したいと考えています。
ーー注力している分野と、注力している理由を教えてください。
基本的に、依頼される案件は何でも引き受けていますが、特に医療過誤の案件に取り組んでいます。
医療過誤案件は、弁護士に医療の専門知識が少ないがゆえに、見通しを立てることが非常に難しいのですが、成果が出せて依頼者に喜んでもらえた時には、苦労する分やりがいも感じますね。
まずはカルテを入手して、医師のアドバイスをあおぎます。そのうえで、事件として進めていくことができるか、損害賠償が認められる可能性があるのか、慎重に判断します。そのうえで、自分のなかで「行ける」と判断したら引き受けるようにしています。
医療過誤案件は、とにかく見通しをしっかり立てて取り組むことが大切です。ですから、医師を招いて、仲間の弁護士と勉強会を開いたりしています。日々、医療知識を深める努力をしています。
相談には余裕を持って臨み、依頼者への報告も欠かさない
ーー弁護士として活動するうえで、心掛けていることはありますか。
相談を受ける時は、とにかく相談者に自由に話してもらって、時間をかけてじっくり聞くようにしています。どうしてもタイトな時間設定だと、弁護士が聞きたいことだけをピックアップして聞いてしまいがちです。それでは相談者に対して失礼ですよね。ですから私は、相談の前後には予定を入れず、時間的余裕を持つことを心掛けています。
あと、実際に案件を受任した後は、依頼者に対して「こういう方針でやっていきたいんだけど、どうでしょうか」という相談や、今後の打ち合わせをしっかり行うようにしています。
また、適宜「今はこういう段階で、弁護士はこういう動きをしています」と報告することも怠りません。依頼者にしっかり流れを理解してもらい、納得のうえで案件を進めていくことが、何よりも大切だと考えています。
ーーこれまで弁護士として活動してきたなかで、印象に残ったエピソードはありますか。
出産時の病院側の対応により赤ちゃんに重い後遺症が残ってしまったということで、両親が病院側に損害賠償を求めた事件を担当したことが印象に残っています。
その赤ちゃんは難産で出産に時間がかかり、病院の対応も適切ではなかったため、仮死状態で生まれてしまいました。なんとか一命はとりとめましたが、重い後遺症が残りました。
裁判ではこちらの主張が認められて、病院側が1億円を超える和解金を支払うという約束で、勝訴的な和解で決着させることができました。
とはいえ、依頼者の赤ちゃんの後遺症が治るわけではありません。これから先もその赤ちゃんは、後遺症を抱えながら長い人生を生きていかなくてはならない。もちろん、依頼者も我が子を介護しながら生きていかなくてはなりません。
多額の賠償金を得られたことで、私たち弁護士は、経済的な面では多少力になれたかもしれません。でも、依頼者のこれからを考えると複雑な気持ちになったことを今でも思い出します。
ーープライベートについておうかがいします。先生は、休日をどのように過ごしていますか。
最近はコロナ禍で合唱部の活動ができないので、妻と一緒にクラシックのコンサートに出かけたり、映画を観に行ったりしています。
ーー弁護士としての今後の展望を教えてください。
これまで同様、依頼された案件をひとつひとつ丁寧に取り組んでいきたいです。
また、最近、遺産分割案件が持ち込まれることが多くなってきたので、今後はより積極的に取り組んでいきたいと思います。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる人に、先生からメッセージをお願いします。
できるだけトラブルが悪化してしまう前に、早めに弁護士に相談してください。自分の目でしっかり見て、あなたにぴったり合う弁護士に依頼してほしいと思います。