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中1いじめ自殺訴訟が和解 同級生と品川区が解決金「真摯に受け止め」
東京・霞が関の司法記者クラブで会見した男子生徒の父

中1いじめ自殺訴訟が和解 同級生と品川区が解決金「真摯に受け止め」

東京都品川区の区立小中一貫校で2012年、同級生からいじめを受けて自殺した中学1年の男子生徒(当時12歳)の遺族が、同級生と保護者、当時の担任、校長などに約9000万円の損害賠償を求めた訴訟は1月9日、東京地裁(中吉徹郎裁判長)で和解が成立した。

男子生徒の父(47)は「和解条項はいじめがよくないことだと伝えられる内容で納得している。いじめの実態がどういうものか、皆さんに理解していただきたい」と訴えた。

●生徒と保護者「遺憾の意を表す」

原告側代理人の高岡信男弁護士によると、同級生14人とその保護者25人、品川区が解決金(金額非公表)を支払う。生徒と保護者が「同級生が行った行為によって男子生徒の心が傷ついたことを認め、遺憾の意を表す」、「自殺したことを真摯に受け止め、哀感の意を表す」との内容が盛り込まれた。

また、担任として調査が十分でなかったことを認め、区や校長、担任は区がまとめた報告書に記載する再発防止策を実施することも条項に盛り込まれた。

裁判所は自殺といじめとの因果関係について判断をしていないが、高岡弁護士は「全員が解決金の支払いを負わせられたことで、証拠調べの結果、原告側の主張を大方認めてもらえたのではないか」と評価した。

●「我慢せずに両親に打ち明けて」

和解成立後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した父(47)は「いじめは子どもの命を奪うものです。重大な問題であることを伝えたかった」と訴訟に踏み切った経緯を説明。

「もし今苦しんでいる子どもたちがいたら、あなたは何も悪くない。我慢せずに両親に打ち明け、助けを求めていいんだよと伝えたい」と訴え、教員に対しては「いじめはどこでも起こりうること。多忙で大変なことはよくわかります。見て見ぬ振りをせず、子どもたちの尊いいのちを守って欲しい」と話した。

●入学直後よりいじめを受ける

原告側によると、男子生徒は2012年4月、区内の他の小学校から7年生(中学1年)として入学。直後より同じ小学校だった同級生から、「きもい」「うざい」などと言われたり、「近づかないほうがいい」などと「菌」扱いされたりして、集団いじめに発展した。

また、複数の同級生から一方的にぶつかる、叩くと行った暴力行為も受け、同年9月には「死ね」などとと言われるようになった。

クラス担任や教科担任は、いじめ行為を認識していたがやめさせず、生徒の母親が7月に文房具が壊されていることを相談した際も、聞き流すだけで終わっていたという。

区教委の調査対策委員会は2012年10月下旬、「一連のいじめは自殺の誘因となった」とする報告書をまとめている。

(弁護士ドットコムニュース)

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