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「西日本豪雨」で無料電話相談900件、日弁連さらに体制強化「救済制度も伝えます」
日弁連の菊地会長(左)と太田副会長

「西日本豪雨」で無料電話相談900件、日弁連さらに体制強化「救済制度も伝えます」

7月の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)をうけて、各地の弁護士会が無料の法律相談会を開いている。日弁連によると、浸水や土砂災害の被害が大きかった広島・岡山・愛媛の3県では、7月11日~8月7日までに電話だけで計897件の相談があったという。

日弁連でも、電話相談の一部を東京の回線に転送するなどしてサポートしている。お盆期間の8月10日~20日はさらに体制を強化するという。

電話番号は、広島(0120-611-613)、岡山(0120-888-769)、愛媛(0120-585-855)。いずれも12時~16時。

●紛争だけでなく、救済制度の正しい知識も伝えられる

「法律相談」というと、何かの紛争をイメージするかもしれない。しかし、日弁連の太田賢二副会長は「弁護士は正しい救済制度の知識を伝えることもできる」と話す。

過去の災害経験から、日本には各種の救済制度がつくられている。しかし、知らなければ利用できないし、手続きにもサポートが必要だ。

たとえば、元々あったローンの返済が生活再建の足かせになる「二重ローン」問題。東日本大震災後にガイドライン(自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン)ができ、ローンの免除や減額を受けられる可能性がある。

また、太田副会長によると、今回は水害のため、建物被害が深刻でも「半壊」認定止まりが多くなる可能性があるそうだ。「一度、半壊認定されても、もう1度認定を取る手続きもあります」(太田副会長)

全壊または大規模半壊の場合は、「被災者生活再建支援法」によって、最大300万円の支援金が受け取れる。

●「権利主張せず、埋もれている人も」多くの救済を目指す

法律相談にはすでに、借家の修繕請求や保険の問題、被災した会社からの解雇といった相談もあったという。過去の災害の事例からは、災害につけ込んだ消費者被害が出てくる可能性もあるそうだ。

日弁連としては、被災地からの相談を吸い上げることで、災害時の政策提言にもつなげたい考え。すでに、安倍晋三首相にあてて、公費で土砂を撤去することなどを求めた要望書(7月26日付)も出している。

きっかけの1つは、相談のおよそ半数が土砂の撤去に関するものだったことだ。自治体によって、公費負担を表明しているところとしていないところがあった。

日弁連の菊地裕太郎会長は、「制度があっても、権利を主張せず、埋もれている人はいる。救済される人が増えてほしい」と法律相談に対する意気込みを語った。

(弁護士ドットコムニュース)

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