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2018年01月01日 09時40分

2018年の注目新法・改正法で何が変わる? 「民泊法」で外国人観光客増加の可能性

2018年の注目新法・改正法で何が変わる? 「民泊法」で外国人観光客増加の可能性
写真はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

2018年は重要な法改正や、新法の施行が予定されている。それらによって生活はどのように変わるのか、概観してみた。(ジャーナリスト・松田隆)

●民泊法施行は6月、住宅地に訪日外国人の姿が増える?

われわれの日常生活の風景を変える可能性があるのが、6月15日に施行される住宅宿泊事業法(民泊法)である。この新法は民泊を一般に解禁するものととらえられている。

2016年に2400万人を突破した訪日外国人は2017年には11月4日に早くも前年を上回り、最終的には2800万人に達する見通し。旺盛なインバウンド需要は、国内の景気にも影響を与えるほどになっている。同法はそうした訪日外国人の宿不足解消する決め手として期待がかかる。

これまで民泊をするためには国家戦略特区などを除き「簡易宿所営業」として旅館業法による都道府県知事の許可が必要だった(旅館業法3条1項)。その場合、特に学校等から100メートルの区域内では許可のハードルは高く設定されている(同2項~4項)。しかし民泊法では都道府県知事等に届出をするだけで「旅館業法第3条第1項の規定にかかわらず、住宅宿泊事業を営むことができる」(民泊法3条1項)とされ、大幅にハードルが引き下げられた。

また旅館業法による民泊は、あくまでも「旅館業」としての簡易宿所営業のため、住居専用地域では営むことができないが(建築基準法別表第二参照)、民泊法では「住宅宿泊事業」の宿泊施設は「住宅」であり、住居専用地域での営業も可能。そうすると普通の住宅地に訪日外国人が頻繁に出入りする状況が起こりうる。民泊法による住宅宿泊事業は宿泊させる日数を年間で180日を超えないように規制されており(民泊法2条3項)、一定の歯止めはかかるとはいえ、ホテル不足の解消には役立ちそうである。時にはホテル業界の経営の圧迫という面が出ないとも限らない。

●介護保険法改正で自己負担割合アップ層も

4月1日に改正介護保険法が施行される。同法は2000年4月の施行から、今回で5回目の改正。今回の改正の大きな点として厚生労働省は5点挙げており、その中でも特に我々の生活に影響しそうなのは介護保険サービスの自己負担割合の変更である。法制定当初は1割負担だったものが、2014年改正で一定以上の所得の人は2割負担となり、今回、さらに一定の収入を超える人については3割負担にアップ(8月1日施行)。具体的な基準は政令で定められるが、単身世帯で年金収入だけの場合、344万円以上の者が想定されている(月額4万4000円が上限)。少子高齢化が進む社会において「介護保険制度の持続可能性の確保」(厚労省HPより)のためには、自己負担増を求めるしかない現実がある。

また、新たな介護保険施設として介護医療院が創設されるのも注目したい。「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供する施設である(同法8条26項、29項参照)。開設主体は地方公共団体や医療法人、社会福祉法人などの非営利組織等とされた(107条3項1号、同4項参照)。

●職業安定法改正で、固定残業代や裁量労働制が明示項目に

年明け早々に施行されるのが改正職業安定法で、企業が労働者を募集する際の労働条件の明示等について規則が変更される。

労働条件等の明示を規定した5条の3に第3項を新設して、労働条件の記載について業務の内容等を変更したり、厚生労働省令で定めたりする場合は、省令で定める事項を明示すべきとされた。具体的には裁量労働制採用の場合はその趣旨を明記して「○時間働いたものとみなす」等の記載、固定残業代採用の場合は基本給と手当ての金額、一定時間を超える時間外労働分についての割増賃金の追加支給等の明示が必要となる。また、試用期間がある場合はその期間も明示しなければならない(以上、厚労省HP「労働者を募集する企業の皆様へ」より)。

求人票の記載と実際の待遇が異なるということで訴訟になる例は比較的多いと言われる。有名な例としては、新入社員募集の求人票に記載されていた賃金の基本給見込額と実際に支給された賃金に5000円前後の開きがあり、その差額を求めた裁判がある。結果、原告の訴えは認められなかった(東京高判昭和58年12月19日)が、改正法の下でどこまで企業側の主張が認められるかは微妙である。

●派遣労働者や有期雇用労働者の「2018年問題」、企業に大きな影響与える可能性

契約社員や派遣社員の世界でも2018年は大きな節目を迎える。契約社員や派遣社員を受け入れている企業では「2018年問題」と呼ばれる問題が以前から指摘されていた。これは労働契約法の2012年改正と労働者派遣法の2015年改正によって、多くの企業が2018年前後に雇用契約についての対応が求められることを指している。

労働契約法18条は期間の定めのある労働契約について、その期間が5年を超えて更新された場合に、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換させる仕組みを規定した。そのため2013年4月1日以降に有期労働契約を締結・更新した場合、2018年4月1日以降、無期への転換を申し入れることができるようになる。有期契約社員にとって、無期契約を申し出ることによっていつ雇い止めになるかという不安を抱えることなく働くことができるのである。一方の企業にとっては雇用計画の抜本的見直しを迫られる可能性も出てくる。

労働者派遣法の2015年改正では、有期契約の派遣労働者が同じ組織で働ける期間は最長3年とされた(30条2項)。その最初の3年の期限が最初に到来するのが2018年9月末。企業が期限を超えて雇用を続けようと考えた場合、過半数を有する労働組合の意見を聴かなければならない(40条の2第4項)。派遣会社から無期雇用されていたり、60歳以上の派遣社員等には適用されないなどの例外はあるものの、こちらも派遣先企業では雇用計画についての対応が求められる。

【プロフィール】

松田隆(まつだ・たかし)

1961年、埼玉県生まれ。青山学院大学大学院法務研究科卒業。日刊スポーツ新聞社に29年余勤務した後、フリーランスに転身。主な作品に「奪われた旭日旗」(月刊Voice 2017年7月号)。

ジャーナリスト松田隆 公式サイト:http://t-matsuda14.com/

(弁護士ドットコムニュース)

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