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2015年11月16日 10時54分

<東芝再建>社外取締役で「取締役会議長」になった資生堂・前田氏が期待されるワケ

<東芝再建>社外取締役で「取締役会議長」になった資生堂・前田氏が期待されるワケ
写真はイメージです

不正会計問題を抱えた東芝の取締役会議長に就任した前田新造・資生堂相談役(同社元社長)が、東芝再建のキーパーソンとして注目されている。

前田氏は、日経ビジネスオンラインに掲載されたインタビュー「私が東芝の取締役会議長を引き受けたわけ」で、就任の経緯を語っている。まず、室町正志社長から「社外取締役を引き受けていただきたい」と頼まれ、いったんは断ったが、引き受けた。さらに、経営刷新委員会の議論を受けて、取締役会議長になるよう求められ、就任したという。

前田氏は、議長の役割として、「(社外取締役の)見識、知見を集大成していくことが大事だと考えています」「正しい情報に基づいて、時間をかけてみんなで議論するプロセスが大変重要です」と語っている。

今後、東芝はコーポレートガバナンス(企業統治)を確立できるかどうかが課題になるが、取締役会議長には、どのような権限があり、東芝の再建において、どのような役割を果たすことが期待されているのだろうか。企業法務に詳しい鎌田智弁護士に聞いた。

●法律で条件が定められているわけではない

そもそも、取締役会議長とは、どういった役割を担う存在なのだろうか。

「公開会社等においては取締役会を置かなければならないとされていて、取締役会は3人以上の取締役の全員で構成される会議体です。この会議体の議長として、議事の進行・司会を務めるのが取締役会議長です」

一般的には、会社のトップである会長や社長が議長になるというイメージがあるが、議長に就任するための条件はあるのか。

「取締役会議長は、取締役会の構成員として取締役会に出席する以上、取締役でなければならないのは当然ですが、議長に就任するための条件が法律で定められているということはありません。

そもそも、取締役会の議長という役職自体、法律の規定ではなく、法律上は、必ずしも議長を置かなければならないというわけでもありません。会社法施行規則で、『取締役会の議長』が存するときは『議長の氏名』を取締役会の議事録に記載しなければならない、とされているだけです。

ただ実際には、取締役会設置会社では、定款や取締役会規則に基づいて、取締役会議長を置いています。そして現在、多くの上場企業で採用されている監査役会設置会社では、取締役社長が取締役会の議長となると定められているのが普通です」

●監督する側とされる側をはっきり区別できる

今回、社外取締役である前田氏が議長に就任したということで、東芝の再建においては、どのような役割が期待されるのか。

「第一に、社外取締役が取締役会議長になることによって、取締役会の実効性を高めることが期待されています。

取締役会議長は、特に規則等で権限が定められていない限り、法律上は、最小限の司会者としての権限しかないとされています。しかし、実際の取締役会の議事運営が議長の裁量に委ねられているところは大きく、取締役会が実のある活動をすることができるかどうかは、議長の手腕にかかるところが大です。

これまでのように経営陣のトップである代表執行役社長ではなく、社外取締役が議長になることによって、株主にとってコーポレートガバナンスの要である取締役会と、監督される側である経営陣をはっきり区別して、株主に対する信頼を取り戻すことが期待されています。英国のコーポレートガバナンスコードでは、取締役会議長とCEOは別の人物でなければならないとされています。

第二としてあげられるのは、人選の点です。東芝は以前から、コーポレートガバナンス体制の整備に積極的に取り組んでいました。不正発覚前に16人いた取締役のうち、4人は独立社外取締役でした。しかし大部分が元官僚や学者で、経営の実務に対してガバナンスを効かせることができていたのかと指摘する声もありました。

今回取締役会議長となった前田氏は、資生堂の社長として手腕を発揮した経営者です。資生堂時代に培った行動力や説得力、そして人格・識見をもって取締役会をリードして、経営陣に対する実効性の高い監督を行うことが期待されています」


鎌田弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

鎌田 智弁護士
上場企業の法務部長を務めた後、現在の事務所を開設。企業内弁護士の経験を生かし、中小企業のビジネス法務に取り組む。
所在エリア:
  1. 東京
  2. 中央区
事務所名:鎌田法律事務所
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