借金・債務整理の解決事例
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「また、相談してもいいですか」── 一度は完済した任意整理。もう一度立ち直るまでの記録

この事例の依頼主 年齢・性別 非公開

相談前の状況 電話口の声は、小さく、ためらいがちでした。

「以前、任意整理でお世話になった者なのですが… また、ご相談してもよいでしょうか」

数年前、複数の消費者金融への借入れが返済困難となり、任意整理の手続きでお手伝いした方でした。手続き後の分割弁済もすべて終わられており、私の中に「あの方はきちんと生活を立て直された」という印象が残っていました。

再び連絡をいただいたとき、「またか」という気持ちは一切ありませんでした。むしろ、以前の相談のときに感じたその方の誠実さを思い出し、「よほどの事情があったんだろう」とすぐにそう思いました。

その方は、配偶者との共働きで家計を支えながら、前回の任意整理の返済を地道に続け、完済されていました。しかしその後、配偶者の収入が減少し、月々の生活費を安定して賄えなくなってしまいました。「少しだけ」という気持ちで始めた借入れが生活費の不足を補うために重なっていき、気づけば複数の消費者金融からの借入れへと膨らんでいました。浪費したわけでも、特別なものを買ったわけでもない。家族のために、ただ生活を維持するためだけの借入れでした。

再び私に連絡してくるまでには、相当の時間とためらいがあったと思います。「一度解決できたのに、また同じ状況に戻ってしまった」という自責と、「また同じ先生に頼るのは申し訳ない」という遠慮が重なり、なかなか連絡に踏み切れなかったようでした。それでも、もうこれ以上自分の力では限界だと感じて、もう一度連絡する決断をされました。その勇気は、決して小さなものではないと思います。

弁護士として長年多くの相談を受けてきましたが、二度目の相談に来られる方には、よほどの事情があります。予期せぬ収入の変化、家族の病気、突発的な出費など、本人の意志ではどうにもならないことが積み重なった結果、再び借入れに頼らざるを得なくなってしまったケースが少なくありません。この方の場合も、まさにそうでした。

解決への流れ 相談をお受けし、借入先の状況を改めて確認しました。業者はいずれも消費者金融で、生活費を補うための借入れでした。

収入の状況を確認すると、利息をカットして月々の返済額を無理のない水準に抑えれば、ご自身の収入だけで完済できる見通しが立ちました。個人再生や自己破産を選択する必要はなく、今回も任意整理で解決できると判断しました。

任意整理は、借入先の業者と直接交渉し、残っている元金を分割払いで返済する約束を取り付ける手続きです。裁判所の関与がないため、自己破産や個人再生とは異なり官報への掲載はなく、職場や家族に手続きの事実が知られるリスクが低い方法です。なお、信用情報機関への登録は生じます。前回の任意整理による登録が残っている場合、信用情報上の影響が続く期間に注意が必要ですので、その点はあらかじめご理解いただいたうえで手続きを進めます。

各業者との交渉は、いずれも大きな困難なく進みました。利息のカットと、無理のない分割払いの条件を取り付け、毎月の返済額はそれまでに比べて大幅に減らすことができました。

手続きが整い、分割支払いの計画が確定したとき、その方は「今度こそしっかり家計を管理して、二度とこのようなことにならないよう、自分のためにも家族のためにも頑張りたい」とおっしゃいました。追われるような返済生活から解放され、毎月の生活に少しずつ余裕が生まれていく。その安堵感が言葉の端々から伝わってきました。

二度目の任意整理は、法律上の制限はありません。ただし、業者が交渉に応じる条件は初回より慎重になる場合があります。また、信用情報の登録期間や個別の状況によって異なる点もあります。「もう一度できるのか」という疑問をお持ちのあなたも、まずは弁護士にご相談ください。

竹内 欣士 弁護士 竹内 欣士 弁護士からのコメント 二度目の相談というのは、依頼者にとって相当な覚悟が必要だと思います。一度助けてもらった弁護士に、再び同じ問題で頭を下げに行く。その心理的なハードルは、初回の相談よりもずっと高いかもしれません。

それでも連絡してきてくれた、ということには、私への信頼があったからだと思っています。それが率直に嬉しかった。そして、もし一人で抱え込んだまま時間が過ぎていたら、限界まで追い詰められていたかもしれないとも感じました。

この仕事を通じて、つくづく感じることがあります。債務整理は、制度や手続きだけではない、ということです。その方がどういう経緯でその状況に至ったのか、どうすれば次こそ立て直せるのか。その人の人生に寄り添いながら一緒に考えることが、私の仕事だと思っています。

どれだけ誠実に生きていても、思いどおりにならないことは起きます。一人で抱え込まず、専門家の力を借りて問題を修正することができるなら、それは弱さではなく、賢明な判断だと私は思っています。

「また相談してもいいのだろうか」と迷っているなら、どうか遠慮なく連絡してください。以前、別の弁護士に相談して、その弁護士に相談しづらい、という方もご連絡ください。そして、まず、状況をお聞かせください。一緒に、もう一度立て直す方法を考えます。

【免責事項】本記事は、実際に取り扱った事案をもとに、依頼者のプライバシーに配慮して事実関係の一部を抽象化・再構成したものです。個別の事情により手続きの進み方や結果が異なります。掲載内容は執筆時点の法令・実務を前提としており、法改正や運用変更により取扱いが異なる場合があります。具体的な事情については個別に弁護士へご相談ください。

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