「何でも話せる風通しのよさ」を大切に、依頼者との信頼関係を築く
詐欺事件の被害者救済に活躍する弁護士に憧れて
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
高校生のころ、NHKの『プロジェクトX』という番組で中坊公平弁護士のドキュメンタリーを見たことがきっかけです。
豊田商事による組織的詐欺事件において、中坊弁護士が率いる管財人チームが被害者救済のためにいかに尽力したか番組を通じて知りました。被害回復のために奔走し、多額の金を取り返すことに成功して被害者から感謝される映像は鮮明に覚えています。
豊田商事事件の被害者の多くは高齢者で、私はおじいちゃん・おばあちゃん子だったものですからなおのこと弁護士の活躍に感動して、世の中のため人のために働く弁護士に憧れを抱くようになりました。
これをきっかけに法学部に進学して司法試験を受験し、弁護士の道に進みました。困っている方の力になりたいという思いから、個人の民事事件や法人でも規模感の小さい中小企業の依頼に対応している法律事務所へ。さまざまな事件に対応しながら、現在の事務所で業務をしています。
ーー注力分野を教えてください。
事務所の顧問先に金融機関が多く、貸金や立替金の返還請求などの業務を行っています。
また、離婚や相続などの家事事件も依頼が多いです。基本的にできることは何でもするというスタンスなので、分野を絞って専門にするのではなく、個人法人問わず幅広い分野に対応しています。
風通しのよさで信頼関係を築く
ーー依頼者のために心がけていらっしゃることはどんなことですか?
弁護士と依頼者は、互いに信頼しあえる関係であることが大事です。依頼者は「人生の一大事」を任せるわけですから、信頼できる弁護士でなければ依頼しようと思いません。弁護士もまた、依頼者が隠しごとをしたり、非協力的だったりするとベストな対応をすることができません。
そうしたことから、「風通しのよさ」を意識して依頼者と接し、信頼関係を築くようにしています。
依頼者が何か疑問を感じたときに弁護士に尋ねることができないようでは、不要なストレスを溜めていくことになります。最初の面談から「わからないことがあったらいつでも聞いてください」と伝えて話しやすい空気づくりを心がけ、私の方でも疑問があったらその都度確認するようにしています。
依頼者にとって最善の解決を目指すためには、話しやすい環境や関係性を作ることが大切だと思います。
ーー印象に残っている事件やエピソードを教えてください。
交通事故の損害賠償請求で印象に残っている事件があります。依頼者は事故で脊髄を損傷して常時介護が必要となり、後遺障害等級でもっとも重い1級に認定されました。1級ともなれば賠償額も相当な額になります。そのため、相手方の保険会社も激しく対抗してきました。
相手方の主張は、依頼者がもともと脊柱管狭窄症であったことから、脊髄損傷の原因の一部は依頼者にあり、賠償額を減額すべきだというものでした。
脊柱管狭窄症というのは加齢により生じることが多く、特別な疾患には当たらないというのが私の認識でした。そして、それまで私が学んできた法律書によれば、疾患でないものは減額の対象にならないというのが常識だと思っていたんです。
ところが、一審では相手方の主張が一部認められました。これはおかしいとすぐさま控訴をしました。たとえ減額の割合が1割であったとしても、常時介護が必要となった依頼者にとっては大きな金額です。
依頼者の利益を守るため、判例を調べたり専門家の鑑定意見を提出するなど、手の限りを尽くしました。その結果、控訴審では依頼者の希望が通る形で和解することができました。
この事件を通じて、教科書事例に沿う事案だとしても、通常の結論が出ない場合があるのだと学びました。そして、専門家を相手にするような事案であっても依頼者を守れるように日々精進しようと心に決めました。
ーー先生ご自身が思う強みはどんなところですか?
依頼者にとってもっとも利益はなにかということを常に考えながら、状況に応じて臨機応変に対応できることでしょうか。調停や裁判などで見通しが厳しいと判断したら、即座に別の解決を提案するなどして、依頼者の利益を守ります。
普通の方が弁護士に依頼するのは人生に1度か2度でしょうから、その限られた機会にしっかり依頼者が納得できる結果を出せる弁護士でありたいと思っています。
経験をいかして新しい分野にもチャレンジしたい
ーー休日の過ごし方を教えてください。
夫婦共働きなので、休日は家族とゆっくり過ごすことがほとんどです。平日の朝は家事や子どもの世話を担当していますが、夜は帰宅が遅くなることが多く、かなりの部分を妻に頼っているので、土日はできるだけ私が家のことをやるようにして、子どもと一緒に外で遊んだりしています。
ーー今後の展望を教えてください。
弁護士になって10年。さまざまな依頼に対応してきた経験をいかし、よりよい方法で解決できるようにこれからも尽力したいです。また、今まで担当したことのない分野にもチャレンジしていきたいと思っています。
世の中ではインターネット関係の事件が以前よりも増えてきました。誹謗中傷の削除請求などは、サイトの運営会社やプロバイダの拠点が東京にある場合が多く、東京の弁護士に依頼することが一般的です。しかし、司法のオンライン化が進めば大阪からでも対応できるようになるかもしれません。そうした時代の変化を見据えて、さまざまな依頼に対応できるように準備をしています。
ーー最後に法律トラブルを抱えて悩んでいる方へ、先生からのメッセージをお願いします。
抱えている問題が法的なトラブルであるという認識に至ってない方が多いように感じます。自分で考えたり、周囲の人に相談しても解決できずにモヤモヤしていることがあるかと思います。そうしたとき、弁護士に話していただければ問題がどこにあるのか、どのように解決できるかなどお伝えすることができます。
アドバイスで解決できることもあれば、弁護士に依頼することで解決することもあります。何よりも相談することで心が軽くなると思いますので、トラブルかどうかわからない段階から、ぜひ弁護士に相談してみてください。