木下 裕一 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
大学時代は法学部だったのですが、特に法律の仕事に就こうという目標はなく、漠然と公務員になりたいくらいに思っていました。そして大学卒業後、少年院で法務教官の仕事をすることになり、8年間勤めました。法務教官の仕事は、非行少年の教育に密接に関わることができる点にやりがいがありました。
しかし、非行少年に対する教育は、少年院のような施設内処遇と少年院を仮退院して行う保護観察などの社会内処遇との連携が非常に悪く、自分が担当した少年が仮退院した後の生活に関われないまま、再犯に至るという経験を何度もするうちに、少年との関わりが薄くても、自由な立場で長期間少年に関わる仕事がしたいと思うようになりました。
そのような問題意識を持ち始めたころにロースクール制度が導入されたので、法務教官を辞め弁護士を目指しました。
印象に残っている案件(事件)
とある民事再生事件(個人)において、債権者側の代理人を担当した事件が印象に残っています。損害賠償債権の存否及び額に争いがあり、再生手続の中で、約3週間の期間で準備書面を8通作成しました。大変でしたが、それなりにこちらの主張が認められたので、頑張って良かったと思いました。
仕事の中で嬉しかったこと
ある任意和解の事件で、依頼者の方から「今まで何人かの弁護士と話したことがあるが、ずっと『弁護士は敷居が高い』と思っていました。今回、こんなに弁護士と気軽に話ができると思っていませんでした。また、何かあったらよろしくお願いします」と言われたことが嬉しかったですね。
弁護士になって大変だと感じること
公務員やサラリーマンのように勤務時間に対して給料がもらえるのではなく、目の前の仕事を終わらせない限り収入に繋がらないということです。また、依頼者が期待している弁護士としての力量を、自分が持ち合わせていない、と感じることが多いことも挙げられます。
休日の過ごし方
子どもの権利に関するシンポジウムに参加することが多いです。また、平日は電話対応や予定が細切れに入っていて、一つの事件にじっくり取り組む時間が取れないので、長文の書面を休日に作成しています。
弁護士としての信条・ポリシー
2つあります。まず1つ目が依頼者の方に結論を押し付けないということです。私は、代理人として依頼者の心情を理解する努力はもちろんしますが、依頼者の心情を全て理解するということは不可能です。なので、結論を押し付けず、私の意見は1つの案として提案します。最終的なご決断は依頼者の意見を尊重します。
2つ目に事件の大きさ、報酬の金額を意識しないということです。ゴルゴ13のような、高額の報酬をもらった事件でも、コイン1枚の報酬の事件でも、引き受けた以上、完璧なスナイプを目指す、という弁護士でありたいと思っています。
依頼者に対して気をつけていること
依頼者の方の話は、関係のない雑談であっても、話の腰を折らずに最後まで聞くということです。ベテランの弁護士に比べて技量の劣る私が、唯一ベテランの弁護士と勝負できるのは、「依頼者のために時間を割ける」という点しかないと思いますので。
関心のある分野
家事事件は、一通りできるようになりたいですね。人間にとって一番小さな、でも一番大切なコミュニティーに関することなので。
今後の弁護士業界の動向
人数も増加し、業務も多様化しているので「弁護士業界」とひと括りにして動向を予想することにそれほど意味はないと思います。ただ、一般の方がイメージするような収入を得ることは困難になると思いますね。
ページを見ている方へのメッセージ
「弁護士と話す」ということは、特別なことでも、勇気のいることでもありません。「こんなこと弁護士に聞いても、頼んでもいいのかな」と躊躇せず、相談してもらったらいいと思います。