依頼者が前を向けるように、法律面だけでなく気持ちの整理もサポート
犯罪被害の経験から、被害者と一緒に戦う弁護士を目指す
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
「女性である、子どもである。ただそれだけで犯罪に巻き込まれる。」
このような経験をお持ちの方は意外と多くいらっしゃると思います。
私もこのような経験を持つ人の一人です。当時、未成年だった私は何もできず、犯人が捕まることもなく、とてもつらく悔しい思いをしました。将来は、私と同じように犯罪の被害に遭っている人の力になるような仕事をしたいーー。そう思ったときに浮かんだのが、弁護士という選択肢だったんです。
そうした原点を忘れずに、弁護士になってからは犯罪被害者の保護に注力しています。
被疑者・被告人の権利を守る刑事弁護の分野は、弁護士であれば必ず勉強しなければならない分野です。しかし、犯罪被害者の支援については必須分野ではなく、刑事弁護の分野に比べて取り組む弁護士が多くありません。
法律では、被疑者・被告人の権利はとても手厚く守られています。他方で、被害者側は被害者参加制度を利用できない限り、残念ながら刑事手続においては蚊帳の外です。近年は被害者への配慮もされるようになってきてはいますが、まだまだ十分とは言えません。
ーー具体的にどのような活動をされているのですか。
刑事と民事の両方からのアプローチです。
刑事の場合、まずは警察署や検察庁に一緒に行き、「警察官や検察官にどのように話せばよいのか」といったところからお手伝いをします。被害者参加制度の対象犯罪事件であれば、公判期日に被害者の方と一緒に出席したり、裁判手続の中で、被害者の気持ちを代弁したり、証人尋問や被告人質問で被害者が聞きたいことを代わりに質問したりといった手続を行います。
民事については、刑事事件と並行して、または刑事事件が終わった後に、加害者に対して民事責任としての損害賠償を求め、きちんとした被害賠償を受けられるようサポートします。
ーー依頼者と接するときに心がけていることは何でしょうか。
話しやすい雰囲気を作るように心がけています。昔、自分が犯罪被害にあったときもそうでしたが、「こんなことを弁護士に相談していいのかな?」といった疑問や躊躇いは皆さんあると思います。私自身、「わざわざ相談することもないか」と無理やり自分を納得させ、そのまま泣き寝入りしてしまいました。
このような経験から、「相談者様や依頼者様はたくさん悩み、勇気を出してご相談いただいているんだな。」と思います。せっかく勇気を出して相談に来ていただいているので、できる限り、「何でも話していいんだ。ちょっとしたことでも相談していいんだ。」と思っていただけるようにお話を聞く心がけをしています。
依頼者様が前を向けるように、たくさんの話に耳を傾ける
ーー弁護士として活動をされてきた中で、印象に残っているエピソードを教えてください。
不倫の慰謝料請求の案件が印象に残っています。依頼者は夫で、妻が自死した後に、妻の不倫が発覚したという案件でした。
妻が亡くなった経緯自体がショッキングでしたし、その後に不倫に気づいたことはとてもショッキングなことだと思います。最初の法律相談では、依頼者様は本当に取り乱しており、初対面の私でさえ「この方は前を向いて進んでいくことができるのだろうか」と心配になるほどでした。
法律的な話としては、不倫相手への慰謝料請求ということで特段難しいことはなかったのですが、どうしたら依頼者様に前を向いてもらえるのか、とても悩みました。
依頼者様とは月に何度か電話で打ち合わせを行うことが多かったのですが、時には1時間以上お話を聞くこともありました。なかなか友人や両親に相談できるような内容ではなかったと思うので、依頼者様にお話をしてもらうのは心のケアという意味合いも大きかったと思います。
最初の頃は、依頼者様は妻も亡くなり、子どももいるのにどうしようという不安な言葉ばかりを口にしていました。それから1年4か月ほど経って、不倫相手との示談が成立する頃になると、依頼者様が前向きな話をするようになったんです。今は仕事が楽しいとか、子どもとも仲良くやっているというお話が聞けるようになりました。
そういった依頼者様の感情の揺れ動きをずっと間近で見てきて、私がお手伝いできたことはそれほど大きくなかったのかもしれないけれど、人の生涯の中で、とても重要なポイントに携わらせてもらったと感じました。依頼者様にはご満足いただけたようで、弁護士ドットコムの私のページの「感謝の声」に投稿もしていただきました。私としてもとても勉強になった事件でした。
ーープライベートについても伺います。休日はどのようにお過ごしですか。
休日はヒップホップダンスをしてストレスを発散しています。小さい頃からダンスを習っていて、ジャズとバレエと社交ダンスの経験はあるのですが、全然違うジャンルに取り組んでみたいと思い、半年前からヒップホップを始めました。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
犯罪被害者の保護に関する仕事をしたいと思って弁護士になったので、そういった勉強をたくさんして、実際に被害者の方が相談に来たときに、「この先生だったら大丈夫。」と思って頼ってもらえるような弁護士になりたいです。
ーートラブルを抱えて悩んでいる方へ、メッセージをお願いします。
「こんなことを相談していいのかな?」「こんなことを弁護士に言うのはどうかな?」と悩んでいらっしゃる方はたくさんいると思いますが、法律トラブルは日常生活に密接しているので、法律トラブルを解決する弁護士は実は身近な存在です。
解決に向けて、たくさんお話して、手続を一緒に進めたいと思っていますので、ぜひ気軽にご相談ください。