相続人間の紛争を紐解きスムーズな遺産分割を実現「悩んだときの相談相手に弁護士という選択肢を」
父の夢を引き継いで弁護士の道へ
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてもらえますでしょうか。
私が中学生か高校生の頃に兄が交通事故でケガをしたことがありました。弁護士は入れず、代わりに父が保険会社とやりとりすることになりました。父は法学部出身で、多少法律の知識があったんです。
父と保険会社のやりとりを見ていて、法律に基づいて交渉を進めることになんとなく興味を持ちました。父には経済的な事情で司法試験を受けられなかった過去があり、父の夢を引き継ぎたいと思ったことも、この道に進む1つのきっかけだったように思います。
ーー弁護士になったとき、お父様は喜ばれたのでは。
もちろん喜んでくれましたが、実は合格までには紆余曲折がありまして。
小学校から高校までずっとバイオリンを習っていてとにかく音楽が好きだったので、大学の法学部に在籍しながらバンドを組んでいました。それ以前も演劇の舞台照明をやったり、その流れで演劇部から出演を頼まれたり、ちょっと就活をしてみたりと寄り道だらけで、司法試験の勉強を本格的に始めたのは4年生になってからなんです。
最難関の試験ですからそう簡単には受からず、卒業後は司法浪人することになりました。合格したのは30歳のときです。時間はかかりましたが、諦めようとは思わなかったですね。諦め方を知らなかったというべきかもしれません。落ちてもまた来年挑戦すればいいと考えて、勉強を続けていました。
相続事件に注力
ーーどのような案件を手がけていますか。
以前はクレジット詐欺被害や破産事件をたくさん扱ってきましたが、だいぶ落ち着きました。今は遺産相続に関する事件が多いです。
ーー遺産相続というと、どういった事件が多いのでしょうか。
典型的なのは、親の遺産の分配について兄弟で折り合いがつかないというパターンです。例えば、兄が親と一緒に住んで面倒を見ていたのに、弟と公平に分けるのは納得がいかないなどの相談がよく寄せられます。
ーー親の面倒を見たことは遺産相続で有利な事情にならないのですか。
ケースによります。だからこそ揉めやすく、仲が良かった兄弟が相続をきっかけに険悪になってしまうことも多いです。
他に揉めるケースとしては、夫が亡くなって妻と子どもが争うこともありますし、そこに甥や姪など他の親族も関わってくるとさらに複雑化します。最大で26人が絡んだ案件を扱ったことがありますが、解決にはかなり時間がかかりました。
遺産が全て現金ならば分けやすいのですが、家や土地などそのままでは分けられない遺産もあると、「誰が受け継ぐのか」「換金する場合、評価額をどう算出するのか」といった点で相続人同士が揉めることが少なくありません。
ーー遺産相続は、弁護士に任せた方がよいのでしょうか。
弁護士は法律の専門家ですし、様々な事案を扱ってきた経験があるので、知識と経験に基づいて適切に遺産を分けられるよう対応を進めることができます。
ただし、リスクもあります。事案によっては、弁護士に依頼することで他の相続人が「弁護士を入れるなんて、争う気か?」と身構えて、それまで円満だった相続人間に紛争が生じてしまうことがあるのです。
無用な紛争を防ぐために、依頼を受けたら他の相続人に宛てて手紙を書き、「なぜ弁護士が必要なのか」「弁護士を入れることでどんなメリットがあるのか」「争うつもりではない」ということをしっかりと説明します。あくまで、依頼者は相続人全員のために弁護士に依頼したのだと納得してもらうためです。
依頼していただいたからには、なるべく早く円満に相続の手続きを完了できるよう、依頼者を含む相続人全員へ常に心配りをしながら慎重に対応することを意識しています。
事件解決のスキルをさらに高めていきたい
ーープライベートについても伺います。休日の過ごし方やご趣味を教えてください。
休日はひたすら家事と育児です。子どもはまだ小さいのですが、私が昔弾いていた楽器を触りたがるんです。いつか一緒に演奏できたらいいなと思っています。
弁護士会の野球部にも入っていて、ここのところ忙しくて参加できていなかったのでそろそろ復活したいですね。
ーー今後の展望をお聞かせください。
1つは、相続事件を手がける上でのスキルをさらに高めていくこと。もう1つは、後進を育てることです。今は私1人の事務所ですが、若い方に入ってもらって、自分の経験を伝えていけたらと考えています。
ーー最後に、トラブルを抱えて悩んでいる方へ、メッセージをお願いします。
悩みを抱えたときに、「弁護士に相談しよう」と思う方はまだまだ少ないと感じます。
「こんなことを弁護士に相談していいのだろうか」「どうやって弁護士を探せばいいのかわからない」…こういった様々な理由で、弁護士への相談をためらう方は少なくないでしょう。
今はインターネットで手軽に弁護士を探せる時代です。事務所のホームページなどに、経歴や弁護方針、仕事への思いなど、その弁護士の人柄がわかる情報が書かれていることも多いです。情報を調べていく中で、「この弁護士に相談してみたい」と思える弁護士が現れたら、一度話をしてみてください。最初の1人がイマイチでも、2人目、3人目と会って話をするうちに、きっとご自身に合う弁護士に出会えるはずです。
法律トラブルを解決するためには、やはり、法律の専門家である弁護士に相談することが一番です。ぜひ、困ったときの相談相手として、弁護士も選択肢に加えていただけたらと思います。