「社会から見放されてしまう人たちにも、手を差し伸べる人が必要」
課題のテーマに選んだことがきっかけで法律に興味を持つ
ーー弁護士を目指すようになった経緯を教えてください。
「正義感に燃えて!」というようなカッコいい話じゃなくて恐縮ですが、弁護士という職業があるのを知ったのは、中学生のころに見たテレビのバラエティ番組がきっかけです。さまざまな法律相談に答えていく弁護士を見て関心を持ちました。
その後、学校の課題で刑法について調べたときに、物事を論理的に考え分析する法律に興味を持ち、専門的に勉強しようと法学部に進学しました。
検察官になる進路も考えましたが、最終的に弁護士になる決意をしたのは、刑事事件中心の検察官よりも幅広い事件に携われる弁護士に魅力を感じたからです。
「弁護士にしかできない仕事だから」
ーー刑事事件以外もいろいろやりたいと弁護士を目指したけれど、刑事事件も数多く手掛けていますね。
所属している事務所が刑事事件を多く手掛けているので、私も担当することが多く、同時に4〜10件抱えることもあります。
刑事事件の依頼者に接見するときに心がけているのは「フラットに聞く」ことです。新聞記事など事前に情報がないわけではありませんが、初めて会うときは白紙の状態で会うようにしています。警察の見解と依頼者の話が違うのはよくあることですので、まずは依頼者がどう認識しているのか先入観を持たずに聞くことを大事にしています。
刑事事件は依頼者と話すために接見に行かなくてはならないなど、時間的にも肉体的にも負担が多く、刑事事件は手掛けないという弁護士もいます。私が刑事事件を手掛けるのは、民事は司法書士や税理士など弁護士でなくてもかかわれる案件がある中、刑事事件だけは弁護士しか介入できないからです。弁護士が求められる場だからこそ、法が期待するものを全うしたいと思っています。
依頼者の盾になるのが弁護士の使命
ーーそれは「正義感」に近いんでしょうか。
正義感とは少し違うような気がします。「正義」は事件の被害者にもありますし、むしろ世間からすれば被害者にこそ正義があり、加害者はその対極にあると思われるのではないでしょうか。
しかしどんな人にも法は必要です。社会から見放されてしまう人たちにも手を差し伸べるのが弁護士の仕事だと思っています。世間の風当たりが強いこともありますし、示談を求めて被害者に会いに行った際には厳しいことを言われたりもしますが、そこは弁護士の使命として受け止めています。
当事者の感情に左右される事件も多く、中学生のころに抱いていた弁護士のイメージと現実とではだいぶ違いがありますが、依頼者や相手方への説明をはじめ、事件解決に論理的思考や分析が求められるという点で変わりはなく、やりがいを持って仕事に取り組めています。
本人だけでなく家族も安心できる解決を目指す
ーー民事ではどのような相談が多いですか。
相続関係の相談が多いです。不動産に関する知識など、相続にまつわる様々な関連業界のことを知らなければいけませんし、解決まで時間のかかる事案も多いので難しいジャンルだと思っています。
昨今は終活ブームもあって、あとで紛争にならないようにあらかじめ話し合っておく方がいいといった認識を多くの方がお持ちです。しかし、いざ話し合いをすると家族だけではなかなか決められないということもあります。
弁護士に相談すれば遺言書作成や専門的なアドバイスができますし、場合によっては家族全員と話してみなさんが納得できるような提案をすることもできるので、早めの準備をお勧めしています。
相続に限らず、離婚や借金の相談に本人ではなく家族の方が来られるというケースがあります。もちろんうかがった話で最大限のアドバイスはしますが、どうしても表面的な回答しかできなくなります。
問題解決には依頼者との信頼関係が大事だと思っています。信頼関係を築くには時間をかけて話をすることが必要ですし、何よりも当事者本人の意思が重要ですので、ご家族が心配して弁護士に相談したいと思ったときでも、できるだけ本人と一緒に来てもらうのが良いと思います。