
大切にしたいのは、日々のささやかな幸せ。敷居の高さを感じさせず、仲間として伴走する弁護士でありたい
何気ない日常を守ることが弁護士の仕事
ーー弁護士を目指したきっかけや、理想の弁護士像を教えてください。
こういう質問に何かかっこいいことを言えればいいんですけどね(笑)。私の場合、幼い頃に母から「弁護士という仕事があるんだよ」と聞いたことがきっかけで、何となく興味を持つようになりました。
どんな弁護士になりたいのかも、大きな理想というより、日々のささやかな幸せを大事にしたい、ということが核にあると思っています。
私自身がそうであるように、誰もが「今ある幸せを大事にしたい」と思っているでしょう。そんな中で、事件や事故など、法律にかかわる問題が突然降りかかってくる。こうした問題に直面した時、法律という分野を受け持って、その方の日々の暮らしを守るように、解決まで導いていくことが、我々弁護士の役割だと思います。
弁護士に頼るまでの敷居の高さを何とかしたい
ーー悩みを抱えている方に伝えたいことがあるとか。
クライアントの方に折に触れてお話していることですが、みなさんとても忍耐強く、問題を自分で何とかしようとする方が多いです。どうかお願いですから「問題に気づいたら、即!」というくらいのタイミングで、弁護士のところに来てください。
私もそうですが、昨今、初回の相談は無料というところも増えています。それはとにかく早めに、気軽に相談していただきたいからです。
例えば火事。小さな火のうちならコップ一杯の水で消せたのに、壁に燃え移ってからでは家じゅう水浸しになるほどの水が必要になり、後始末も大変です。何か問題が起きた時に、初期段階で弁護士がかかわっていれば解決は簡単だったことも、時間がたてばたつほど問題は複雑になり、解決までに時間がかかるだけでなく、人間関係がこじれたり、損害が大きくなったりします。
相談になかなか来られないことの背景には、多くの方が弁護士に対していかめしいイメージを持っていることが関係していると思います。「こんなくだらないことを持ち込んだら、上から目線で怒られるのではないか」「そもそもこれは弁護士に相談することなのか?」と、相談する前に考え込んでしまう。
もちろん威厳というのは頼もしさ、安心感にもつながるので、決して悪いことではないのですが、弁護士もいろいろな個性があります。かくいう私は威厳のあるタイプではなく、「同じ目線でざっくばらんに話しができる」と言われることが多いです。「弁護士=話しづらい」と思いこまずに、無料相談などを積極的に利用していただきたいです。
顧問弁護士は「本音が言える」伴走者
ーー何か問題が起こってからではなく、起こりそうだという段階で相談、ですね。
そこで検討していただきたいのが、顧問弁護士を持つということです。最近ネットを使ったビジネスの新規事業者の方からのご依頼が増えており、その多くは今まで顧問弁護士を持たなかった事業者、特に個人事業主の方々です。
顧問弁護士を持つということは、何か問題が起こったときに一から説明しなくても、会社の業務内容はもちろん、創業時の思いや大事にし続けてきたこと、そうしたうまく言葉にできないこともわかってくれる、一緒に伴走する仲間を持つということです。
そういう相手だからこそ「ちょっとこれ、聞いてほしいんだけど」というように、気軽に気になったことを聞ける。小さな相談が問題の発生を防ぐことも多々あります。弁護士の業務範囲ではない場合は、しかるべき専門家を紹介することもできます。
誰にも言えない愚痴を私に話してすっきりする、というだけでもいいのです。事業主であればうかつに人に話せないこともあると思いますが、弁護士には守秘義務があるので、そこは信頼して吐露してほしいです。
顧問弁護士は、何か問題が起こったときに解決に向けて対応することはもちろん、問題が起こる前に食い止める、前述のとおり「日々のささやかな幸せを守り、仕事に邁進できる環境を整える」、そのための仲間だと思っています。
eスポーツ選手やeコマースの新規事業主のニーズに応える
ーー今後手がけていきたい問題や、注目している分野はありますか。
ネットを舞台にしたビジネスがこれからますます盛んになる、なんて、今更言うまでもないことですが、私が今後もっとも大きく変貌すると思っているビジネスは、eスポーツです。
現在でも企業と契約しているeスポーツ選手はいますが、今後はeスポーツのスターが、サッカーや野球などの選手と同じようにテレビに出たり、CMに起用されたり、ということがもっともっと増えていくでしょう。国内はもちろん国際的な大会の数も増えていく。そういう時、チームがマネジメントに専念できるように、また、選手がプレイに集中できるように、弁護士だからできるバックアップがあると考えています。
私自身、eスポーツが大好きなこともあり、世界的に活躍するチームや選手が増えて、そうした方々を法律面からサポートできたらすごくうれしいです。特に各種の契約はチームや選手にとって非常に大きな問題ですし、そこにeスポーツのことも企業のこともわかっている弁護士がかかわっていけば、チーム・選手双方にとっていいパートナーシップが築けるはずです。
この分野で「徳安弁護士に頼むといいよ」と言われることが、私にとっての大きな夢かもしれません。
それはもう少し先の話として、現在増えている、新規にeコマース事業を立ち上げた企業や個人事業主のニーズに応えることが、弁護士にとって急務だと感じています。
繰り返しになりますが、「何かおかしい」「これってどうなんだろう?」と思った段階で、弁護士に相談してください。弁護士でなければできない情報開示などの手段があり、それを早くやっておけば大ごとにならずに済むということが、くどくなりますが、本当に多いのです。
せっかく始めた事業を安定的に大きく育てていくために、一人で頑張りすぎないでください。まだ何が問題なのかわからない段階でも、弁護士と話す過程で問題の輪郭が見えてくることはよくあります。何が問題かわかれば、一緒に解決していけます。ぜひ、お気軽にご相談ください。