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【追記あり】創業家の元社長によるセクハラ、銀行口座の凍結…農機メーカーの経営めぐり混乱続く
記者会見を開いたスガノ農機の従業員たち

【追記あり】創業家の元社長によるセクハラ、銀行口座の凍結…農機メーカーの経営めぐり混乱続く

【2018年8月28日追記】農業機械メーカー「スガノ農機」の前オーナーと労働組合は2018年6月29日、水戸地裁土浦支部で和解した。和解内容は、(1)互いに、不適切な言動や誹謗中傷ビラの配布などの迷惑行為について謝罪すること、(2)今後、互いに誹謗中傷をしないこと、(3)同社をめぐる一連の紛争に関して、インターネット上に投稿した画像や動画などを削除すること――などだ。 同社によると、前オーナーはすでに経営に一切関わっておらず、2017年12月から新しい経営体制が発足している。同社は、弁護士ドットコムニュースの取材に「新体制のもと、会社の再建に向けて全社員一丸となって取り組みをはじめ、現在、正常な経営状態にある」「今後も農業に役立つ仕事を積み重ねていく」とコメントした。【追記ここまで】

農業機械メーカー「スガノ農機」(茨城県美浦村)の創業家出身で、前オーナー・元社長の男性から日常的にパワハラやセクハラを受けていたとして、同社の従業員9人が損害賠償を求めて提訴している。その訴訟の第1回口頭弁論が11月1日、水戸地裁土浦支部であった。原告らは口頭弁論終了後、東京都内で記者会見を開いた。

スガノ農機は、今年で創業100年をむかえる農業機械メーカー。創業家出身の菅野充八氏は2006年、社長に就任した。原告側によると、菅野氏は10年以上にわたって、従業員に対して「アホか、ぶっとばすぞ」「死ね」などの言葉のパワハラや、女性従業員に対するセクハラを繰り返して、30人以上が退職を余儀なくされたという。

原告の1人で、入社4年目の若手従業員、名畑浩治氏によると、菅野氏はトラクター研修中に女性従業員に過度なボディタッチをしたり、研修として共同生活を強要するなど、日常的にセクハラをおこなっていたという。従業員に対する調査をおこなったところ、原告以外にも、菅野氏によるセクハラ・パワハラのケースが100件以上あったそうだ。

名畑氏は、この日の会見で「社員が一眼となって、彼(菅野氏)が10年間にわたっておこなってきた悪行を社会的にも認めさせて、会社から永久追放して、100年つづいた会社を今後も100年つづけられるよう、がんばっていきたい」と述べた。

●会社の銀行口座が凍結されている

スガノ農機をめぐっては、セクハラ・パワハラ訴訟以外でも、創業家一族と従業員約160人が真っ向から対立する争いが発生している。従業員側は、「オーナー一族(菅野氏)には、二度と会社に戻ってきてほしくない」と望んでいる。

菅野氏は今年2月、それまでの不適切な言動を問題視されて、代表取締役社長を解任された。ところが、菅野氏はその後、臨時株主総会を開いて取締役就任を主張したり、会社の銀行口座から2億円以上を引き出すなどして、「自分の会社だ」という主張をつづけているという。

菅野氏を含む現経営陣以外の同社の全従業員(約160人)が加入している労働組合「東京管理職ユニオン」の鈴木剛執行委員長によると、現在、銀行口座が凍結される事態に陥っているという。農機を生産するにしても、手持ちの資金がないため、大手トラクターメーカーにも問題が波及。同社は大手トラクターメーカーと協議しながら、この問題の解決を図っている。

さらには、サプライヤーへの支払いが滞るなど、信用毀損も発生しており、同社開発部長の黒岩昭彦氏は「(菅野氏は)経営者だった。お金の流れを止めればビジネスがどうなるのかわかっているはずだ。個人の所有物と思っているのか、事業が立ち行かなくなった。とても許せない」と怒りを口にしていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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