法律を使って弱い立場にある人々を支援。過労死問題から離婚、相続まで幅広い事件に対応
憲法に感銘を受けて弁護士を目指す
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
中学生のときに社会科の授業で憲法を読んで感銘を受けました。これをきっかけに法学に興味を持ち、高校に進学した後、「将来は法学部に進み、憲法や法律について専門的に学びたい」と思うようになりました。
その後、法学部に進学し、授業を受ける中で感じたのは、法律が持つ意義でした。法律は古代から現代に至るまで、人類が知恵を出し合い作り上げてきたものです。法律には人類の歴史が詰まっているとも言えます。そんな法の歴史を継承し、日本社会に適応するように形成されたのが現在の日本の法律です。
法律は社会の様々な場面で活用されています。社会的に弱い立場にある人たちも、法律を用いて正当な主張を行うことで、権力を持つ大きな存在に対して自分の権利を主張し、戦うことができます。
政治では解決できない問題でも、司法がその解決を担うことがあります。法律を使って、弱い立場にある人々を支援することができる弁護士という職業は、私にとって非常に魅力的でした。
ーー注力分野と、その分野に注力している理由を教えてください。
労働問題、離婚、遺産相続に注力しています。中でも私が精力的に取り組んでいるのが、過労死・過労自殺(自死)事件です。
司法修習生のとき、指導担当の弁護士が過労死事件を扱っていて、「過労死弁護団全国連絡会議」という弁護士団体の総会に連れていってくださいました。そこで、過労死問題に取り組む弁護士が熱心に議論している姿を見て、過労死問題の深刻さやご遺族に生活の保障を提供することの大切さを知り、私も取り組みたいと思いました。
ーー先生が司法修習生だった頃と比べて、過労死問題を取り巻く環境に変化はありますか。
以前は過労死の認定基準が非常に厳しく、ほとんどのケースで認定がされない状況でした。
しかし、私が弁護士になる前から過労死問題に取り組んできた先輩方の努力や活動の結果、認定基準が定められ、その後も改訂されるなどし、現在は以前よりも認定がされやすくなったと感じます。また、過労死遺族や弁護士らの活動により、過労死の防止に関する法律も制定されました。厚生労働省も過労死をなくす必要性を認識し、対策に取り組んでいます。しかし、認定基準にはまだまだ問題点がありますし、過重労働が完全に解消されたかというと、そうではありません。ハラスメント被害を受けて精神障害を発症し、亡くなる方も存在します。これらの問題は依然として深刻であると感じています。
労働環境や労働者の権利保護に関して解決すべき課題はまだまだ残っています。引き続き労働問題に取り組み、社会的な改革の実現に貢献するために努力していきます。
14年間戦い続けた遺族の努力が実った過労自殺事件
ーー仕事をするときに心掛けていることはありますか。
まずは依頼者が何に困っているのかを理解しなければなりません。そのためには、どのような経緯で現在の状況に至ったのかを丁寧に聞くことが大事です。
離婚のようなセンシティブな問題の場合、話しにくい内容もあるかもしれません。依頼者のペースで話してもらうように努めています。 また、被害を受けた方々は心身ともにダメージを受けています。その方の立場に寄り添って、共感しながら話を聞くように心掛けています。
ーー弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードを教えてください。
市役所で働いていた方が、部署異動後に慣れない仕事を1人で任され、職務内容と長時間労働を苦に自死した事件があります。
亡くなられた職員の妻が公務災害認定の請求をしたところ、過労自殺(自死)とは認められず、公務災害の補償を受けることができませんでした。その後の審査請求、再審査請求でも公務災害が認められなかったため、行政訴訟を起こし裁判で争うことになりました。
裁判では、職務内容や長時間労働の実態、亡くなるまでの様子などを詳細に主張し、相手方の主張に対しても詳細な反論を行いました。その結果、逆転認定の勝訴判決を勝ち取ることができ、遺族には遺族補償年金が、これまで支給されていなかった過去の分も含めて支給されることになりました。
公務災害が認定されるまでに14年かかりました。依頼者の夫が亡くなられたときに生まれたばかりだった子どもは、中学生になっていました。その間、依頼者は1人で子育てをしながら、裁判で証言したり、組合の協力を取り付けるために活動したりするなど、懸命に頑張っていました。そんな依頼者の14年間の努力が実る形で解決できたことが本当に嬉しかったです。
悩みを抱えているなら、一歩踏み出して相談してください。
ーー弁護士のやりがいを教えてください。
弱い立場の人の側に立ち、法律という武器を使って困難な状況を救済するために戦うことが、弁護士のやりがいだと思います。
過労死事件、離婚、相続、どのようなジャンルの事件であっても、困っている人に寄り添いながら、自分の知識や経験を活かして、依頼者の望む形で解決できるように努めています。
悩みが解消されたことで依頼者の表情が明るくなり、生き生きと過ごすことができるようになったとき、弁護士になって良かったと感じます。
ーー今後の展望を聞かせて下さい。
過労死事件に関しては、今後も積極的に取り組み続けたいと思っています。また、町の法律事務所として、離婚や相続など地域の方々が抱えるさまざまな問題に対応していけるように、研鑽を積みたいと思っています。
弁護士の仕事は社会貢献ができ、人々の困難を解決する有意義な役割だと感じています。そのやりがいと責任を噛みしめながら、日々努力していきます。
ーー最後に、法律トラブルを抱えて悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
「どんなふうに解決したらいいのかわからない」「話合いがうまくできそうにない」といった悩みを抱えている方もいるかと思います。
最初の一歩の踏み出し方からアドバイスできるのが弁護士です。悩んでいる初期の段階からご相談いただければ、そのときの状態に沿った形でのアドバイスができ、解決方法の選択肢を提示することができます。
悩みを抱えている方は、できるだけ早めに相談にお越しください。どうやって解決するのか一緒に考えますので、1人で悩まずにご連絡いただければと思います。