地域に根ざした活動で刑事事件・離婚事件を多く担当
障がい者の支援にも取り組む
ーー弁護士を目指したきっかけは。
大学の法学部に入ったこと自体は、あまり深く考えての行動ではありませんでした。ですが、入学式で学長が「うちの大学は、まだ司法試験の合格者がいない。ぜひ目指してほしい」という話をされるのを聞いて、やってみようかなと思ったのがきっかけです。
ただ、やろうと思ってはみたものの、周りで同じように勉強している友人が少なかったということもあって、予備校に通って本格的に勉強し始めたのは大学3年生の頃でした。
本当に甘い見通しなんですけど、その当時は「何年かやったら受かるだろう」って思っていたんです。実家は新聞社で、父からは「3回落ちたら戻ってこい」と言われていました。4回落ちた後、一度は田舎に戻り家の手伝いをしていたのですが、「本当にやりたいんだったらもう1回チャレンジしろ」と言われ、勉強を再開しました。そこからまた時間がかかったのですが、なんとか合格することができました。
ーー障がい者の支援にも力を割かれているそうですね。
私は札幌の中では刑事事件を多くやっているほうなのですが、罪を犯してしまう方の中には、障がいのある方が多いということに気づいていきました。
弁護士会では、長年、刑事弁護に関する委員会と地域司法に関する委員会に所属しています。10年以上前になりますが、刑事弁護委員会の有志で、障害者刑事弁護の先進的な取り組みをしている大阪に視察に行ったり、山本譲司さんの書籍を読んだりする中で、次第に関心を持つようになりました。
刑事弁護をやっていると「なぜ犯罪者を弁護するのか」と言われることがありますが、弁護人の立場で関わっていくと、事件を起こす原因って人それぞれなのです。詳しく聞いていくと、障がいを抱えている方にとっては生きづらい世の中なんだなと思うことが多々あります。
やってしまったことは変えられないけど、何でそうなったのか、今後同じようなことをしないためにはどうしたらいいか、といったことを考えていくのはとても大事なことだと考えています。
ーー刑事事件以外に注力されているものはありますか。
特定の分野に特化しているわけではないですが、割合としては家事事件が多いのですね。そのなかでもとくに離婚事件が多い印象があります。
相談の際に心がけているのは、依頼者の話を聞いて、依頼者にとって何がいい解決方法かを依頼者と一緒に考えるということです。弁護士事務所に相談に来られる方は、すでに相手方との関係がこじれているわけですが、私が依頼を受けて介入することで、事態を悪化させることは避けたいと思っています。
担当した離婚調停で、印象的な出来事もありました。お互い代理人をつけて相手方に対する不満を言い合うなかで、「悪いところだけじゃなかった」「こういう面でいいところもあった」という話がお互い出てきて、離婚調停が成立した際に、当事者同士が「自分も至らないところがあった」「離婚することになったけど、今までありがとう」などと、謝罪と感謝の言葉を述べる場を設けました。調停委員も協力してくれて、いい雰囲気で終わることができたんです。
ーー先生は口調が穏やかで、優しい雰囲気が出ているので、相談しやすそうです。
たまにですけど、「他の弁護士事務所に相談に行ったら怒られて帰ってきた」という人がいるんです。どういうことなんだろうと思いつつ相談を受けた後、「先生とお話して、弁護士のイメージが変わりました」って言われたことは何回かありますね。
休日は野球と野鳥観察
ーー趣味や休日の過ごし方について伺います。野球と野鳥観察がお好きだそうですね。
札幌弁護士会の野球部に入っているのですが、結構本格的にやっていて。毎年、弁護士野球の全国大会があって、30ぐらいあるチームのうち8チームしか出られないですが、出場を目指して頑張っています。札幌は雪が降るんで、実質的には半年ぐらいしか外で練習することができないんですけど、毎週集まって汗を流していますね。
ここ最近では、野鳥観察にもハマっています。釧路方面に行ったときにタンチョウやオジロワシを間近で見て、興味を持つようになりました。札幌にも自然豊かな公園が沢山あり、いろんな種類の野鳥がいることが分かりました。休日は、双眼鏡と野鳥本を持って公園に出かけています。リフレッシュできますし、お金もかかりません(笑)。
ーー先生はもともと北海道の方ではないんですよね?
はい、出身は三重県です。試験に合格した後、東京の事務所に入所しましたが、札幌に支店を作ることになり、転勤でやってきました。5〜6年ほど経って札幌支店を閉めることになったので、依頼者や事件を引き継いで、自分で事務所を作りました。弁護士同士の繋がりもそうですが、私を頼りにしてくれる依頼者や顧問先のことを考えると、それを全部リセットして、別の場所で一からやり直すことは考えにくくて。
ーー依頼者がいて、顧問先の企業がいて、そして野鳥がいた。
そうですね。野鳥はちょっと最近では大きな要素になってきていますね(笑)
「まずは悩みを聞かせていただければ」
ーー今後の抱負は?
今年で弁護士になって12年になるのですが、これまで仕事に追われて、なかなかインプットやスキルアップに時間が取れなかったんですよね。そろそろ自分で「こういう弁護士になりたい」というイメージ像もできつつあるので、そのためのスキルアップに時間をかけたいと思います。
具体的には、専門的な知識をわかりやすく伝える弁護士になりたいです。たとえば刑事事件では、裁判員裁判が始まって、それまでは裁判官が理解できればいいものとして進めていたのが、一般市民の人にも理解できるような内容で伝えないとダメになりました。同じように、民事事件でも家事事件でも依頼者や相談者の方に対して、専門的なことを分かりやすく伝えられる弁護士になりたいです。
ーー法律トラブルを抱えている人にメッセージをお願いします。
自分の頭の中で悩んでいるだけだと、物事は前に進まないと思ってます。それを誰かに話すことで自分のその悩みの本質は整理できるでしょうし、時には解決方法が見つかるかもしれません。その相手が弁護士であれば法律的に解決できることがあるかもしれない。こんなことを弁護士に相談していいものなのか……ということを考える前に、まずは悩みを聞かせていただければと思います。