「真面目な人が損をするのはおかしい」検事から転身、刑事事件と相続に注力
守るべきもののために尽力する
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
子供の頃から「真面目な人が損をするのはおかしい」という考えを持っていました。大学で法律を学んでいるときに、こうした自分の考え方に合うのは法曹の世界ではないかと思い、法曹界を目指すことにしました。
はじめは弁護士を目指していたのですが、正義感の強さなど性格的に検事の方が向いていると思い、司法試験合格後に検事になりました。
検事として13年余り働いた後、家族との時間を大切にしたいと思い、弁護士に転身しました。検事の仕事は激務な上に転勤が多く、家族と過ごす時間があまり取れませんでした。単身赴任期間中、久しぶりの帰省から赴任先に戻る日に子どもが泣く姿を見て、転身を決断しました。
ーー検事から弁護士に転身することに抵抗はありませんでしたか?
それはなかったですね。検事が被疑者・被告人を追及し、弁護士は被疑者・被告人を守るという対立イメージがあるかもしれませんが、どちらの立場になろうとも守るべきもののために力を尽くすことに変わりはありません。弁護士でも原告側と被告側のどちらの立場にもなりますし、一方当事者であるという点において検事も弁護士も違いはないと思います。私に限らず、法律家であれば誰でも同じく、どちらの立場でも仕事はできるという考えだと思います。
ーー弁護士に転身して検事との違いを感じたことはありますか?
依頼者から感謝の言葉をもらうのは、検事にはなかったことですね。検事は担当する事件数の割りには被害者と接する機会があまりないですし、事件が解決しても直接言葉をかけられることは少ないです。その点、弁護士は依頼者から直接言葉をかけてもらえ、反応がダイレクトなのでやりがいに感じます。
一方で、検事時代にできていたことができないもどかしさもあります。例えば医師の意見書をもらいたいとき、検事であれば捜査機関と繋がりのある病院に依頼することができますが、弁護士は自分で協力してくれる医師を探して協力を頼まなければなりません。
調査にかかる費用も弁護料の範囲で抑えなければいけませんし、民間企業などに調査協力を頼むのにも、弁護士照会には限界があります。情報収集の大変さは弁護士になってもっとも感じることですね。
依頼者の真意を捉えて理解に努める
ーー注力している分野を教えてください。
刑事事件は自分の経験とスキルが活かせる分野ですので、ライフワークとして力を入れています。自分の経験が活かせることは、依頼者にとってもメリットになると思っています。
もう一つは相続です。多くの案件を経験する中でスキルが身についただけでなく、司法書士や不動産屋に知り合いが増えて、相続問題に有益なネットワークができたので積極的に取り組むようになりました。
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
依頼者のニーズを把握して、選択肢をきちんと示すように心がけています。
例えば、依頼者の要望が法律家からするとベストな選択とはいえなかったとしても、ただ否定するのではなく依頼者の真意を考えながら理解に努め、気持ちに寄り添う解決策を提案する必要があると思います。
検事時代は人の心理を読む場面が多かったですし、仕事の大半は人の話を聞くことだったので、依頼者の話を丁寧に聞いて、思いを推察することは経験が活かされていると思います。
ーー弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードを教えてください。
国選で担当したある刑事事件が印象に残っています。依頼者は前科があって普段からトラブルも多く、接見での態度が攻撃的だったり、発言内容がコロコロ変わったり、味方であるはずの弁護人にも協力的ではありませんでした。
事件終了後、依頼者の家族と話をしているときに、依頼者が過去に交通事故で大怪我をした経験があることを知りました。気になって調べたところ、依頼者が問題を起こすようになったのはその事故の後からでした。
私は高次脳機能障害の疑いを持ち、依頼者の家族に伝えました。依頼者が攻撃的な態度を取ったり発言が変わるのは、脳の障害が原因ではないかと思ったからです。
それからしばらくして、依頼者の家族から連絡がありました。依頼者を病院へ連れて行ったところ、高次機能障害が認められて障害年金がもらえることになったと感謝されました。
私が担当した事件とは直接関係がなく、お節介な行動だったかもしれませんが、自分の行動が依頼者と家族の役に立てたことがとても嬉しかったです。
弁護士と繋がることが問題解決への道
ーー趣味や休日の過ごし方を教えてください。
休日は子どもと一緒に過ごしています。夏はサッカーの試合を観戦したり、冬はスキーに行ったりします。スキーは子どもたちも好きなので付き合ってくれるのですが、サッカーは私だけが好きなので、最近付き合ってくれなくなって寂しいです。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
刑事事件と相続をこれまで通り注力しながら、こつこつと地道にマチ弁を続けていきたいと考えています。
事務所にいるもう一人の弁護士は労働分野を得意としているので、それぞれの強みを活かしながら事務所としての個性も出していけたらいいと思っています。
ーー法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
誰にでも突然トラブルに巻き込まれる可能性はあります。そんなときには、遠慮せずに相談に来てほしいです。
法律問題なのかわからなくても大丈夫です。弁護士に話すことで解決することもありますし、弁護士には解決できない問題でも、どういう解決方法があるのか一緒に考えたり、アドバイスをすることができると思います。
悩みを一人で抱え込まないで一刻も早く弁護士と繋がること。それが問題解決の第一歩だと思います。