地域の「かかりつけ弁護士」として幅広い相談に対応 遮らず、否定せず、じっくり話を聞く
セカンドキャリアとして弁護士の道へ
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
大学時代は文学部で心理学を学んでいて、弁護士になることは考えていませんでした。卒業後は自動車整備工場で働いていたのですが、35歳の頃、退職することになってしまって。年齢的に新しい就職先を探すのはなかなか難しい状況で、「これからどんな仕事をしようか」と考えたときに選択肢の1つとして思い浮かんだのが弁護士でした。
妻が司法書士として働いていて、自分も法律を使う仕事をしてみたいなと興味を持ったんです。たまたまロースクール入試の出願期間が近かったことにも背中を押されて、司法試験に挑戦しようと思い立ちました。
それまで法律を学んだことがなかったのでロースクールで1から勉強を始めて、40歳から弁護士としてのキャリアをスタートしました。
情報を引き出し、最適なゴールを探る
ーー多く手がけている分野と、仕事で心がけていることを教えてください。
案件として多いのは、離婚、債務整理、交通事故です。
どのような案件を手がけるときにも、依頼者の話を聞くことを大切にしています。トラブルを抱えて精神的にナーバスになっている方が多いので、心のガス抜きのためにも、時間をかけてコミュニケーションを取ります。
事件解決のためには、依頼者からなるべく多くの情報を引き出すことが重要です。そのために、遮らず否定せずにじっくり話を聞いていきます。
依頼者にとって有利な情報も不利な情報も全て把握したうえで、どのような解決を目指すか、着地点を探ります。依頼者と一緒に「一番納得できるゴールは何か?」を考え、そこに向かって、二人三脚で歩んでいければと思っています。
ーー弁護士として活動してきた中で、特に印象に残っているエピソードをお聞かせください。
一番印象に残っているのは、国選弁護人として、殺人事件の被告人の弁護をしたことです。裁判員裁判の対象となった事件でした。
犯罪の動機は、本人にとっては筋の通った理屈があるとしても、他の人はその理屈をなかなか理解できません。裁判員に対して、被告人が殺人という重大な罪を犯した動機をどのように伝えるべきか、非常に悩みました。しかし同時に、被告人の主張を代弁し、その権利を守ることは、弁護士にしかできないのだと実感しましたね。
この経験は、伝え方について改めて考えるきっかけになりました。弁護士として法廷で何かを主張する場合、「何を」「どう」伝えればいいのかという、2つの要素に分けられると考えています。主張すべきことを選択することも、その伝え方も、どちらも大切です。
弁護士の言葉一つで、裁判官や裁判員の受け取り方が大きく変わってしまう可能性があります。どうすれば被告人の主張を最も的確に伝えられるのか、常に考え続けなければならないと、改めて肝に銘じました。
気軽に相談できる「かかりつけ弁護士」を目指して
ーープライベートについても伺います。休日の過ごし方を教えてください。
休日は、読書かゲームをして過ごすことが多いです。
本は幅広いジャンルを読みますが、特に、大学時代に専攻していた心理学関連の書籍は興味深いものが多いです。
最近読んだ中では、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』という本が非常におもしろかったですね。人間の意思決定のプロセスがわかりやすく解説されていて、心理学についてあまり知らない方でもどんどん読み進められる内容だと思いました。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
少しでも「困ったな」と思ったら、気軽に相談できる存在でありたいです。かかりつけ医ならぬ「かかりつけの弁護士」として、地域の方の困りごと解決に尽力していきたいと思います。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
悩みを抱えたときの相談先の1つに、弁護士を加えてほしいと思っています。「自分の悩みが法律問題かわからない」という方もいると思いますが、法律で解決できるかどうかも含めて、弁護士に聞いてみてください。
依頼者の話を聞いていると、「ここまで大事になる前に、早く相談してくれればよかったのに」と思うことがよくあります。相談するタイミングが遅くなったことで解決方法が狭まってしまったり、自己判断で行動したためにトラブルが拡大してしまったりするケースも多く見てきました。
トラブルがこじれて話合いでは解決できず、裁判で戦うとなると、非常に大きな負担がかかります。そうなる前に弁護士に相談してください。トラブルがまだ小さい段階で相談に来てもらえれば、大事にならないうちに手を打って、それ以上事態が進行することを食い止められます。
「悩んだらとりあえず弁護士に相談してみよう」というくらいの気軽さで、相談に来ていただければと思います。