
スピーディーかつ正確な事件処理、「伝わりやすさ」を重視した説明〜依頼者ファーストの対応が信条
スムーズな解決の鍵は「初動」にあり
ーー特に力を入れている分野はありますか。
基本的には分野を絞らず、幅広い案件を手がけていますが、最近力を入れ始めたのはインターネットトラブルです。企業・個人を問わず、全国から相談が寄せられます。
もともとつながりがある方から相談されることも多いですね。たとえば顧問先の方から「会社に対する悪い口コミを書かれて困っている」と相談されたり、すでに解決した事件の依頼者から「Twitterのアカウントを乗っ取られてしまって、どうすればいいか知りたい」と連絡が来たりすることもあります。
ーー仕事をするときに心がけていることを教えてください。
できるだけ初動を早くすることと、方針を見誤らないようにすることです。初動がうまくいかないとその後もスムーズに進まなくなってしまうので。
相談を受けて受任した場合には、できるだけその日のうちに、訴状や内容証明を作るようにしています。必ずしも訴状を書いたその日のうちに提訴できるわけではないですが、依頼されたらとにかく早めに着手することは肝に銘じています。
というのもこの仕事は、ちょっと油断するとどんどん他のタスクが覆いかぶさってくるからです。溜まった仕事の処理に追われるような状態になってしまうと、1つ1つの案件に丁寧に対応できず、結果的に依頼者に迷惑をかけてしまいます。最初から最後まで案件をスムーズに進めるために、初動のスピードと、正確な見通しを立てることは常に意識しています。
特にネットトラブルへの対処は、スピードがとても重要です。
たとえばネット上で誹謗中傷を受けて、書き込んだ相手を特定したい場合、プロバイダに対して発信者情報の開示請求という手続きをおこないます。この手続きにはプロバイダが保存している「ログ」と呼ばれる通信記録が必要なのですが、ログが保存されている期間は数か月や1年程度のことが多いんです。もたもたしているとログが消えてしまい、開示請求ができなくなってしまう可能性があります。
普通の民事事件であれば時効にかかるまでに数年の猶予がありますが、ネットトラブルはタイムリミットが厳しいので、特にスピードを意識して取り組んでいます。
「先生は物腰が柔らかい」顧問先からの嬉しい言葉
ーー依頼者とのコミュニケーションで心がけていることはありますか。
法律に関する説明をするときに、できるだけ専門用語を使わず、依頼者にとって理解しやすい言葉で話すことです。実際に、「説明がわかりやすい」と言われることは多いですね。
法的に正確な説明をしようとすると、どうしても専門用語を使わざるを得ません。専門用語を使うほど話の内容が難しくなり、依頼者が置いてきぼりになってしまいます。どんなに法的に正確な説明であっても、依頼者に伝わらなければ意味がありません。
最初の段階で大切なことは、まず大枠を掴んでもらうこと。法律家から見れば多少正確さに欠ける言い方になっているかもしれませんが、難しい言葉はできるだけ噛み砕き、依頼者に理解してもらうことを第一に考えて説明しています。
ーー弁護士として活動してきた中で、印象に残っているエピソードを教えてください。
ある会社から顧問を任されたときに、経営者の方から「なぜ先生に依頼したと思いますか?物腰が柔らかいからですよ」と言われたんです。
顧問弁護士を選ぶ基準というと、緻密な法律論とか確かな実績を重視する会社が多いと思っていたので、「人柄で選んでくれたんだ」と少し意外に感じたことを覚えています。
「社外のお客さんと話をしてもらう場面もあるので、人あたりがいい人がよかったんです」と言ってもらえて嬉しかったですね。今でも印象に残っているエピソードです。
1人で悩むよりも、専門家と悩むほうが楽
ーー今後の展望をお聞かせください。
今年で弁護士12年目となり、様々な分野の案件を手がけるなかで、知識やノウハウをかなり蓄積してきました。これまでの経験を礎として、今抱えている案件や、今後依頼していただく仕事の1つ1つに、誠実に向き合っていきたいと考えています。
ーートラブルを抱えて悩んでいる方へ、メッセージをお願いします。
1人で悩むよりも、専門家と悩んだ方が楽です。
トラブルの渦中にいる人自身が、トラブルの原因や対処法を客観的に分析することはなかなか難しいと思います。1人で悩んでいるとどうしても考え方が狭まってしまいますから。
病気やケガに置き換えるとわかりやすいかもしれません。たとえば背中が痛いときに、背中に湿布を貼ればよくなると思ったのに、一向に痛みが引かない。こういう場合、根本的には背中ではなくて、首とか腰、ひいては日頃の姿勢に原因があったりするんですよね。場合によっては、内臓の病気が痛みを引き起こしていることもあるかもしれません。
背中の痛みの原因を突き止めるためには医学や身体の知識が必要で、自分1人で考えていてもなかなか答えは出ません。もし内臓の病気だとしたら、悩んでいるうちにどんどん進行して、医者にかかったときには大きな手術が必要なほど悪くなっていた、という可能性もあります。
法律トラブルにも、同じことが言えると思うんです。
もしかしたら、あなたが思っていることとは全く違うところに原因が眠っている可能性があります。「こうしたほうがいい」と考えている方法よりも、もっといい解決策があるかもしれません。
弁護士は、一般の方とは全く違う視点からトラブルと向き合います。法律の知識だけではなく、様々な案件を手がけるなかで培った知見をもとにトラブルを見つめ、根本原因や解決方法をアドバイスします。そして依頼者の希望を聞きながら、トラブルを解決するための方針を練っていきます。
1人で悩んでいると考えが行き詰まってしまいますし、何より苦しいです。ぜひ、弁護士のアドバイスを聞きに来てください。