菅澤 紀生 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
中学生の頃、公民の授業に興味を持ったのが弁護士を目指す最初のきっかけでした。憲法の条文の解説や暗記に周りの友達が苦労している中、何故か私にとってはそういった勉強がとても楽しく、魅力的だったのです。その後、大学の法学部に進学し、人を助けられる職業として弁護士を意識するようになりました。
困っている人を助けるには、正しい知識が伴った行動が必要です、例えば、海で溺れている人を助けようとするとき、自分に泳ぐ能力がなければ、たとえ助けようと海に飛び込んでも、助けるどころか自分まで溺れてしまいますよね。しかし、正しい泳ぎ方を身につけていれば、自分が溺れてしまう事もなく、溺れている人を確実に助けることができます。それと同じように、弁護士として法律を学ぶことで、困っている人を正しく助けられるのではないか、と思ったのです。
今までの経験と現在の仕事内容
私は東京出身なのですが、司法修習の際、先輩の弁護士から「一度東京を出てみると良い経験になるよ」とアドバイスを受け、札幌の事務所で弁護修習を受け、現札幌市長である上田文雄先生の下でお世話になりました。そのときに札幌という土地がとても気に入り、弁護士登録後も札幌で働くことを決心しました。
分野としてはあらゆる問題をあつかってきましたが、札幌は修習で訪れた当時から決して景気が良いとは言えない土地ということもあり、債務整理や自己破産、倒産関係のものが多いです。また、通常の業務以外に環境問題等にも関わっています。
環境問題への関わり方
司法試験に合格するまでの数年間は、毎日同じ勉強の繰り返しだったのに対し、実際に弁護士として働き始めると、その時々の時代の流れに応じて扱う案件が変わって行きます。私が司法試験に合格し、「今、社会で問題となっているのは何なのか」と最初に考えた時、目に入ってきたのは環境問題でした。私が合格したのが1997年、つまり、京都会議が議決された年だったということもあり、環境問題に対する注目がより集まっている時期だったのです。
当時は合格発表が秋だったので、実務に入る春までの間は、環境問題の知識をつけることに時間を費やしました。たくさん本を読み、様々な環境問題の専門家に会いに行って話を聞き、合格者仲間と共にアメリカへ渡って勉強したこともありました。
また、弁護修習の際にお世話になった上田文雄先生も、環境問題やエネルギー問題に積極的に取り組んでおられる方でした。上田先生は、幌延町に核廃棄物最終処理場を誘致する動きに対しての反対運動や、泊原発の三号機建設反対の運動など、様々な問題に、弁護士業務としてではなく、市民活動という形で積極的に参加しておられました。その姿を見て、私も弁護士業務と共に、公益的な問題として環境問題にも関わっていきたいと感じたのです。
現在は通常業務の他に、「泊原発の廃炉をめざす会」の弁護団事務局長を務めたり、建設アスベストの問題などにも関わったりと、弁護士業務と公益活動とのバランスをとりながら活動しています。
弁護士としての信条・ポリシー
特に意識している行動や話し方といったことはありません。「依頼者の方の前だから」「弁護士だから」と変に構えるのではなく、自分らしく、自然体で接しています。
ただ、以前アメリカに住んだ経験から、依頼者の気持ち汲み取るということは意識しています。弁護士になってしばらくした後、環境都市計画や交通政策について学ぶために、アメリカのオレゴン州のポートランドに留学したことがありました。家族を連れて渡米し、収入もなく、英語能力も不十分な状態で暮らした2年間は、結構大変な思いをしました。消費者問題のようなトラブルに巻き込まれたり、家賃や車のことで騙されたりと、実際にアメリカで弁護士にお世話になったこともありました。
そういった弱者としてのシビアな体験をしたときに始めて、日本での自分の弁護士業務を省みました。自分が同じ状態に立たされたことで、混乱して上手く話せなかった依頼者の方や、言葉が上手く出てこない方の気持ちが、やっとわかるようになったのです。
態度や言葉の表面など、目に見えるものだけで判断するのではなく、依頼者の気持ちを汲み取る姿勢を大切にしようと思うようになった、貴重な体験だったと思います。
関心のある分野
一番関心があるのは、やはり環境問題です。中でも、都市に関する問題には特に関心があります。日弁連には公害対策環境保全委員会というものがあり、自然保護や原子力エネルギーなど7つの部会によって構成されているのですが、私はその中の大気都市部会の部会長を勤めています。
また、それ以外では、相続の問題に興味があります。相続は、様々な分野の知識が必要となる、まさに民法の総合問題と言える問題です。さらに、どんなに普段法律問題と関わりのない人生を過ごしていても、全ての人に必ず、そして多くの場合突然に訪れる問題でもあります。
日本ではまだまだ相続に関しての対策が不十分で、いざ相続の問題が浮上したときに、どうしたらいから分からなくなってしまう方も多くいらっしゃいます。相続に対する意識を変えるためには、遺言整備の呼びかけなど、弁護士からも市民の方々への声かけ、アピールが必要だと思います。