舛田 雅彦 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
正直なところ、社会正義の実現とか、弱者を救いたいとかという高尚な気持ちで目指した訳ではないです。自分の能力を最も生かせる職業として適性があるのではないかという気持ちが一番強かったような気がします。
印象に残っている案件(事件)
ある当番弁護事件で弁護した被疑者が、簡易鑑定の結果刑事責任能力を問えないということで私の仕事は終わったのですが、その数年後に万引き事件で弁護した国選事件の被告人が、その被疑者の元の夫だったということがありました。
その夫の記録を見てみると、元妻だった被疑者は精神科の病院に入院後、一時帰宅中に自殺していて、それがきっかけで夫の人生が狂ってしまったという事件です。
被告人の実家は遠方にあり、実家とも絶縁状態だったのですが、私が弁護人になったのはその元妻の引き合わせかもしれないと思い、実家と連絡を取ってお父さんに来てもらって、刑事裁判も即日判決をしてもらう段取りをして連れ帰ってもらったということがありました。 この事件は不思議な縁を感じる事件で忘れられません。
仕事の中で嬉しかったこと
月並みですが、事件が終わって依頼者から感謝されたときが一番嬉しいし、ほっとする瞬間です。ただ、基本的に他人のトラブルを扱っている仕事ですから、仕事を楽しむという気持ちにはなれません。
弁護士になって大変だと感じること
望んでなった仕事ですから、余り大変だと感じることはありませんが、いつも仕事に追われている感じで生活するのは精神的に休まらない気がします。
また、依頼者に泣きつかれて、かなり難しい見通しだと分かっていながら事件を引き受けることもあるのですが、結局うまくいかなくて依頼者から逆に責められたときには、やりきれなさを感じることがあります。
休日の過ごし方
趣味はゴルフなので、シーズン中の休日はゴルフ場にいることが多いです。ただ、北海道の場合、コースも近いしプレーも18ホール通しでラウンドするので、朝早いスタートであれば、2時ころには家に帰れます。
早く帰った後、家庭内で特に用事がなければ、野球(日本ハム戦)かゴルフのテレビ中継を見るか、仕事をしているか、あるいは本を読んでいるかという日常です。
シーズンオフは、ゴルフの練習に行くこともありますが、何かやらなければならない仕事があれば、そちらに時間を割くことになります。
弁護士としての信条・ポリシー
座右の銘が「中庸」なので、常にバランスの良い解決を目指そうと思っています。
勝ち筋の事件でも、勝ちすぎるのは、相手に恨みを買うなどして、後々依頼者のためにならないこともあります。そんなときに、依頼者に事件だけでない全体の状況を理解してもらって望ましい解決を一緒に考えるということを心がけています。
依頼者に対して気をつけていること
分かりやすい説明と意思の齟齬が無いようにポイントごとにきちんと確認することは心がけています。また、仕事の納期を守るのは当然として、その中でも丁寧な仕事をしなければならないと考えています。
また、前の質問とも重なりますが、事件の当事者になると周りの状況が見えなくなることもあるので、依頼者の気付いていないことについても、後見的な立場からアドバイスすることを心がけています。
関心のある分野
企業経営に関わる業務に一番関心を持っています。企業にとって、弁護士はトラブルになったら相談する相手と思われている実態がありますが、事業計画や人材育成など企業経営全般に関するアドバイスをすることを弁護士の業務として確立したいと考えています。
「弁護士は法律だけしかできない」と自分を縛る必要はないし、その能力もあると思います。例えば企業活動にブレーキをかけていくようなアドバイスだけしかできなければ嫌がられてしまうかも知れませんが、事業戦略を立てるのに参加するとか、積極的に前に進めるようなアドバイスまでできれば、本当のビジネスパートナーとして信頼してもらえると思っています。
今後の弁護士業界の動向
法科大学院と新司法試験の制度が導入されて以来、合格者が毎年大量に弁護士業界に入ってきていますので、弁護士業務全体のパイを広げることができなければ、確実に仕事からあぶれる弁護士が出てくると思います。
司法試験合格者数の見直しをするとともに、弁護士自身が業務範囲を広げる努力をしなければならないし、気付いている弁護士は既にそのような活動を始めていると思っています(私もその1人です)。
今後のビジョン
事務所の体制にも関わりますが、普通の弁護士がやっている仕事は事務所の他の弁護士に任せて、企業経営に関する業務に特化するとともに、現在も結構依頼を受けることのある講演活動に力を入れて行きたいと考えています。
ページを見ている方へのメッセージ
弁護士は「裁判をする人」と思っている人が少なくないと思いますが、私は、弁護士の持っている能力はもっと幅広いところで生かせると思っています。例えば、弁護士は多くの紛争事例を見、実際に裁判を行うなかで培った知識に基づいて、裁判をやったときの結果の予測もかなりの精度でできますし、契約書等の書面が不備なためにどういう不利益を被るのかをお伝えすることもできますので、裁判になる前に事件を解決できたり裁判を未然に防ぐことができたりします。
加えて、書類の読み方であったり、事実の真相を解明したりすることについては、弁護士は一般の方よりもトレーニングを受けていますから、法的紛争以外の分野でも、頼りになる相談相手になると思います。
弁護士の敷居が高いといわれることもありますが、多くの弁護士は一般の方たちに声をかけてもらいたいと思って待っています。あまり怖がらずに、まずは相談してみてください。
ロースクールの時間を有意義にするために
ロースクールも玉石混淆ですが、ますはそれなりの合格者数を出しているとこを目指すと良いと思います。そして、ロースクールは、学部の教育と実務の架け橋として期待された制度ですので、そのようなことを意識しながら勉強を進めると良いと思います。
私が教えている科目はローヤリングクリニックという科目で、完全に実務を意識したものです。司法試験の受験に直結するものではありませんが、実務をイメージしながら勉強すると、実際の紛争の場面に法がどのように関わっているのかという視点を持てるようになりますから、法に対する理解の深みが全く違ってきます。そういう意味で、実務系の科目も積極的に選択して学んで欲しいと思っています。
また、昔と違って司法試験の合格率は上がっており、一緒に勉強している人はかなりの割合で法曹になります。ですから、試験のライバルとしてだけでなく、共に法曹として仕事をしていく仲間として人間関係を広げて行った方が、将来の可能性も広がっていくと思います。
その他に特記事項や伝えたいこと
今回の記事の中でお伝えできない私の思いやプロフィールは、私のオフィシャルサイトをご覧いただければと思います。
URLはこちらです→https://www.sapporo-sogo-lo.com/lawyer/lawyer02.html