高次脳機能障害の問題に注力〜長年の経験を活かし、被害者とその周りの人々を懸命に支える
理系の研究職志望から弁護士の道へ
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
高校の時から理系科目が得意で、大学時代も理系の学部に在籍し、将来は研究職に就くことを目指していました。ただ、勉強するなかで、「自分に研究職は合わないかもしれない」とどこか違和感を抱くようになったんです。
研究職に進まないとすれば、将来はどういう道を進むべきか。進路について考えたとき、選択肢として思い浮かんだのが司法試験の受験でした。それまで、法律の勉強はしたことがなかったのですが、合格のハードルが高く、勉強しがいがあるだろうと思い、挑戦したいと思ったんです。
大学を卒業した後に、司法試験の勉強を始めました。法律や法的な考え方について初めて本格的に学び、非常に興味深いと感じました。試験に合格後、法曹三者のなかでも一番自分の裁量で仕事ができそうなことに惹かれて、弁護士になる道を選びました。
約20年にわたり、高次脳機能障害の問題に取り組む
ーーどのような分野に注力していますか。
交通事故分野、その中でも高次脳機能障害に関する問題に注力しています。独立する前に勤めていた事務所がこの問題に力を入れていて、私も多くの案件を担当しました。当時の経験を活かし、今まで約20年にわたって、交通事故の被害者救済、なかでも高次脳機能障害の案件解決に取り組み続けています。
高次脳機能障害とは、交通事故などで脳に損傷を負うことで、生活に支障が出てしまう障害です。物事を記憶できなくなってしまったり、集中力が落ちてしまったりするなど、様々な症状が現れます。
ただ、事故後に記憶力や集中力の低下が現れたとしても、ただちに高次脳機能障害と診断されるとは限りません。また、交通事故被害に遭ってから医療機関で高次脳機能障害と診断されても、自賠責保険や裁判では認定されず、後遺障害として認められないケースが多くあります。
ーー高次脳機能障害と認められるハードルは高いのですね。
はい。ハードルは高いですが、認定されるかどうかで賠償金の金額が大きく変わってきます。私が過去に手がけた案件では、自賠責では高次脳機能障害とは認められず、裁判で高次脳機能障害と認定されたことで、賠償金が100万円から1億円にまで上がったケースもあります。それほどに認定が難しい障害なのです。
だからこそ、高次脳機能障害について適切な診断・認定を受け、事故後の生活への不安を少しでも軽くできるよう、きちんと賠償を受けていただきたいと考えています。最良の診断を得るために専門性の高い医師をご紹介することや、適切な額の賠償金を受け取っていただけるよう任意保険会社との示談交渉を重ねることなどを通して、本人と家族をサポートしています。
ーーどのような経緯で相談に来る方が多いのでしょうか?
事故に遭った本人よりも、家族など周りの方が相談に来ることが多いです。
たとえば、事故に遭った被害者が入院していた病院から家に戻ってきて、ふたたび一緒に生活し始めると、家族が「事故前と様子が違う。何かおかしい」と気づく。「事故で脳にダメージを受けたからではないか」と疑って家族が高次脳機能障害の支援団体(家族会)に相談し、そこから私を紹介されて相談に来られるケースがあります。
ーー弁護士に依頼することのメリットは何でしょうか。
メリットの1つが、高次脳機能障害について、適切な後遺障害等級認定を受けられる可能性が高まることです。
後遺障害等級によって賠償金の金額が大きく変わるため、何級に認定されるかは非常に重要なポイントです。
後遺障害等級認定を申請する際は、自賠責損害調査事務所というところに医師の診断書などを提出するのですが、審査は基本的に診断書などの書類とMRIなどの画像をもとに行われるため、提出する書類の内容がとても重要となります。書類の記載内容や説明が不十分だと、現実の症状に見合わない低い等級しか認められなかったり、そもそも後遺障害と認定してもらえなかったりする可能性があります。
弁護士に相談してもらうことで、医師にどのような診断書を書いてもらえばいいかアドバイスできます。場合によっては弁護士が医師と面会して、診断書の内容について意見を述べることもできます。医師との連携のもと、適切な後遺障害等級認定を獲得できるようサポートしますので、申請を検討している場合は、一度ご相談いただければと思います。
ホームページでの情報発信を通じて、障害への理解を促す
ーー高次脳機能障害の案件に取り組むうえで心がけていることは何ですか?
丁寧にお話を聞くこと、そして示談交渉や裁判が終わった後も、支援団体(家族会)などと連携を取りながら、本人や周りの方々をサポートしていくことです。
高次脳機能障害を負ったことの影響は、生活の様々な面に及びます。判断能力が下がってしまうことで、詐欺に巻き込まれる方や、お金を使いすぎてしまって気づいたら賠償金がほとんど残っていなかった、という方もいます。このような事態を防ぐために、成年後見人をつけて金銭管理のサポートを受けることを提案する場合もあります。
また、障害を負う前は当たり前にできたことができなくなってしまい、将来を悲観してうつ病になる方も少なくありません。事故前はバリバリ働いていた方が障害を負ったことで仕事に支障をきたし、周囲に「怠けている」などと思われて孤立してしまうこともあります。
「これは高次脳機能障害の症状なんだ」と家族や周囲の方が認識・理解できれば、本人との接し方も変わってくると思います。
ーー本人の周りにいる人が、障害について理解することが大切なのですね。
障害について知ってもらうための取り組みとして、私の事務所のホームページでは高次脳機能障害の症状や相談窓口、補償・賠償請求の流れなどを詳しくご説明しています。障害を負って困っている本人や周りの方に記事を読んでいただくことで、少しでも有益な情報を提供できれば嬉しいです。
また、特に若い方の場合は、脳に損傷を負ってしまっても神経細胞がまた繋がりだして、完全に元に戻るわけではないけれど少しずつ回復していくこともあります。事故直後は重い高次脳機能障害を負いましたが、現在は会社で働いている方や、ご自身で事業を営んでいる方もいます。そういった実例についても発信することで、本人や家族に少しでも希望を持ってもらえればと思っています。
よりよい解決のために、できるだけ早く相談を
ーープライベートについても伺います。休日の過ごし方や趣味を教えてください。
近所の山を走ったり、家で料理したりして過ごします。
あとは、趣味というより生活の一部になっていることですが、瞑想を習慣にしています。気持ちがリセットされてスッキリしますし、以前より仕事の効率が上がったように思います。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
できるだけ早めに相談してもらえればと思います。
交通事故に限らず他のトラブルにも言えることですが、ことが大きくなってから相談に来られた方のなかには、取り返しがつかない状態にまで事態が進行していたり、裁判で戦ってもなかなかいい解決を得にくい状況になっていたりすることもあります。
トラブルがまだ起きていない、もしくはトラブルがまだ小さいうちに相談に来ていただければ、解決に向けてより多くの選択肢を提示できます。ご自身が納得できるいい解決につなげるために、ぜひ早い段階で相談にお越しください。