不動産問題のスペシャリストとして、依頼者の思いまで汲み取った解決を目指す
興味を覚えたことを深堀りする性格 警察官から弁護士にキャリアチェンジ
ーー弁護士になる前は警察官だったそうですね。
はい。警察官として働く中で法律に触れているうちに、法律を学びたくなって、弁護士になりました。その縁があって、今でも警察学校の外部講師として民法を教えたりしています。
警察出身というと刑事事件に強そうと思われるかもしれませんが、私が得意としているのは不動産関連、それにまつわる債権回収や相続などです。ライフワークと言ってもいいくらい、不動産に特化して仕事をしています。
社会や経済を映す鏡・不動産に興味を持ち、自ら収益不動産を購入し、弁護士業務にも生かす
ーーなぜ不動産に特化しているのですか?
法律の勉強に夢中になったように、不動産も知れば知るほど興味深くて、夢中になってしまったからです。不動産というのは社会や経済の動きと連動して、価値が変わってきます。その動きは面白い。そして、それを知っていることで、不動産にまつわる法律問題も、依頼者の方の要望により沿う形で解決できることが非常に多いのです。
最初は、弁護士業務として不動産案件に興味を持ちましたが、不動産の法律問題を取り扱うだけでは飽き足らず、2018年には、自分でも収益不動産を所有・管理する法人を設立しました。自ら不動産を購入して所有し、さらに賃貸して管理する中でより一層不動産について詳しく知ることができ、不動産に関する知識と経験も相当増えました。
弁護士は、売買契約、賃貸借契約、事業承継、遺産相続などさまざまな問題で不動産にかかわります。不動産に関する法律問題に詳しい弁護士はそれなりにいると思いますが、収益不動産を所有して管理し、自身の問題として不動産にどっぷりつかっている弁護士は少ないと思います。
弁護士自身が不動産の実情を知っていれば、法律だけでなく、不動産に関連する様々な問題も踏まえて、より適切な解決方法や事前に取り得る手段は何かをより広い視野で考えられるようになると思っています。依頼者の要望を叶えるためにとれる解決方法も多くなり、裁判や調停など裁判所を通じた解決以外の方法も柔軟に検討できると思います。
ーー弁護士がどのくらい不動産に関する知識を持ち合わせているかで、最終的な結果が変わってくるのですね。
例えば、コロナ禍で、インバウンドを見込んだホテル事業や民泊運営業者の苦難がここ数年多く生じましたが、ホテル用の建物を単なる不動産として見て、土地と建物の売買で済ませてしまうこともあろうかと思います。
しかし、土地と建物という不動産として売却するより、旅館業等の許可を有した会社自体の承継という形をとった方が、その許可を用いて事業を継続することができる等、承継する側にメリットがある場合もあります。
不動産業者やホテル事業者と日ごろから付き合いがあり、「今、あの辺りはこんな感じだ」「あそこは今後こういう風になるという話が出ている」といった、不動産やホテル事業を行っている事業主さんとの交流があるからこそ入ってくる情報というものもあります。
私は、不動産が趣味…というとおかしいかも知れませんが、不動産を通して見える様々なことに興味があります。その興味の対象は、弁護士ですのでもちろん不動産に関する法律問題は中心的ですが、それにはとどまりません。不動産業者、建築業者、不動産開発会社、宿泊業者とも日ごろから親しく交流して、不動産を巡る問題や大きな世の中の流れについても話をすることが多く、情報共有も行っています。そうした、時流に沿った情報の収集や知識の集積が、不動産関連の法律問題の処理や不動産に関連する契約問題の方針検討に際しても、非常に大きな力になっています。
個人の依頼者にとって不動産は単なる財産ではない
ーーある住宅ローン破たん者が望んだ家族とのマイホームでの生活
住宅は単なる物ではなく「家族の思い出が詰まった場所」です。住宅ローンを組みマイホームを購入してそこに住み、そこで子どもを育てて、子どもはそこから学校へ通い、家族はこのマイホームを中心として地域住民と交流して子どもは友達を作ります。別の場所に移ることは、自宅を失うというだけでなく、それまで長年作ってきた人間関係まで失うことを意味します。
様々な事情によって人は職を失ったり、給料が低下したり、また、家族が病気になるなどして支出が多くなってしまうということがあります。そうした場合に、予定していた住宅ローンを返済できない事態になってしまうこともあります。
そうした場合に、住宅ローンの債権者であり自宅に設定された抵当権者でもある金融機関の理解と承諾を取り付けることができるのであれば、マイホームを第三者に売却すると同時にその売却先の新オーナーさんとの間でそこに住み続けることができる賃貸借契約を締結するという方法を検討することもあります。売却によって得た代金でもって金融機関に返済を行い、自宅にそのまま住み続けるようにするため自宅を買い取ってくれた新オーナーさんから自宅を賃借して賃料を支払って今まで住み慣れた自宅に住み続ける。
こうした方法によって、子どもがまだ小さく学校に通っていて転校をしたくない、家族も住み慣れた自宅で住み続けたいという希望を叶えることができることもあります。当然、抵当権者である金融機関に事前に説明をして、合理的な売却代金で売却して、売却代金で金融機関に返済をきちんとするから、了承して頂きたいというお願いや交渉が必要になります。
相談者である債務者の家族は自宅に住み続けることができ、合理的な金額による売却と売却代金による返済によって金融機関も回収の最大化を図ることができます。すべてのケースについてこうした処理ができるわけではありませんが、もし自宅に子どもが学校を卒業するまでは住み続けたいなどといった事情がある場合には、検討してみる価値はあると思います。
私も、私が弁護士として依頼を受けた案件ではなく弁護士という立場を離れて、不動産業者さんからの紹介で、私の会社で自宅を買い取りオーナーとなって、居住していた方に賃貸して住み続けて頂くという形で不動産を購入したことがあります。どうしても子どもが学校を卒業するまでは、今まで住み慣れた自宅に住み続けたい、子どもは今通っている学校で友達がたくさんいるので転校は避けたいというニーズがあり、これに応じる形で私の会社で、この不動産を購入して、同時に居住者との間で賃貸借契約を締結して、そのまま居住してもらっている物件が数件あります。金融機関での売却代金決済の場では、居住者さんにも大変感謝されました。
こうしたことがきっかけで自分も大家さんになってみて、ますます不動産を身近に感じるようになりました。不動産のオーナーになってみて、不動産に関する問題にますます興味を持ち、今では、不動産に関する案件は喜んで相談に乗るという状態になっています。
間口を広げず、専門性を高めたことが強み
ーー不動産というのは、会社にとっても個人にとっても最も大きな財産の一つ。当然その人の人生に大きくかかわってきます。
そうなんです。不動産などの財産は、その方が頑張ってきた人生の証だったり、逆に、今苦しめられている重石だったりします。
債務整理や相続や離婚などの法的な手続きを進める際にも、その財産である不動産を、その所有者にとっても関係者にとっても、プラスになる形で活かしていきたい。また、不動産の開発、仲介、売買、建築など不動産を巡る様々な問題に強く関与していきたい。そのためには、不動産業界の人からも「同業者」並みに不動産のことに詳しく、不動産に興味を持ち、不動産を巡る専門的知識とネットワークを持っている弁護士が必要だと実感しています。
不動産に関する法律知識はもちろんのこと、さらに不動産業界の「今」や「実際」を知っていて話が通じる弁護士でありたいと思っています。