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はれのひ社長が謝罪「取り返しのつかないことになった」「ギリギリまで交渉していた」
篠崎洋一郎社長

はれのひ社長が謝罪「取り返しのつかないことになった」「ギリギリまで交渉していた」

晴れ着のレンタル・着付け業者「はれのひ」(横浜市)が1月26日夜、横浜市内で記者会見を開き、篠崎洋一郎社長(55)が「お客様をはじめ取引先にご迷惑、ご心配をおかけしたことをお詫びいたします。申し訳ございませんでした」と謝罪した。同社はこの日、破産手続きの開始が決定している。

はれのひをめぐっては、今年1月8日の成人の日前後、突然営業停止となり、予約していた人が振り袖を着られなくなるなど、トラブルが発生していた。篠崎社長が公の場に姿を現すのは、問題発覚後はじめて。成人の日当日は、上海や鹿児島に行っていたという噂も流れていたが、神奈川県内の知人宅に身を寄せていたという。

篠崎社長は会見で「本日まで説明が遅れたことをお詫び申し上げます」「一生に一度の成人式を台無しにしてしまい、取り返しのつかないことになってしまった」「私にすべての責任があります」と語った。

さらに、「ギリギリまで交渉をつづけていた。なんとかしたいという思いがあって、対応が遅れた。最後まで本当に精一杯やった。もっと早くお知らせしておけば、このような最悪な事態にならなかった」と釈明。成人の日当日、従業員すらも連絡がとれなかったことについては「逃げてはいない」と述べた。

社長の説明によると、成人の日の前日の1月7日につくば店(式は同日開催)で着付けの遅れが出たことがツイッターで広まり、八王子店では7日午後8時ごろに業者からヘアメイクの技術提供を断られた。横浜店でも、従業員がやめるなどしたため、7日午後6時ごろには当日の対応ができないことが判明した。さらに、客への連絡もできる状況になかったという。

詐欺の疑いについては、「そういうつもりは毛頭なかった。必死で社員も私も営業をかけていた」としている。

●振り袖1200着、順次本人に送る予定

横浜地裁はこの日、同社の破産手続きの開始を決定した。破産申立代理人によると、負債は約6億3500万円だが、客の損害分は調査中で含まれておらず、総額は約10億円にのぼるとみられる。債権者数は1600人程度の見込み。

約1200着の振り袖(仮絵羽含む)の保管を確認しているといい、破産管財人の弁護士は、代金の支払いが完全に済んでいるものについては、順次本人のもとに送るとしている。到着は1月30日以降の見込み。

●「てるみくらぶ」事件と構造は同じ

報道によると、神奈川県警は、詐欺容疑などの立件も視野に入れて捜査している。刑事事件にくわしい落合洋司弁護士は「昨年破産した旅行会社『てるみくらぶ』の事件と構造がほとんど同じだ」と指摘する。

「たとえば、仕事ができる見込みがないのに、どんどん注文・予約をとっていたとしたら、理屈の上では『詐欺罪』が成立しうる。しかし、『がんばれば、なんとかなると思った』などと言われると、故意がなかったということになる。捜査状況次第で、立件は不可能ではないが、手間がかかるだろう」(落合弁護士)

てるみくらぶの事件では、実際よりも業績をよく見せて金融機関から借り入れをおこなっていたとして、同社代表が逮捕・起訴された。はれのひも「売上高を過大に計上したのは悪質だ」と疑惑が報じられている。落合弁護士は「今後、捜査が進んで、そうした事実が明らかになれば、詐欺として立件される可能性は十分ありうる」と話した。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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