英会話やパーソナルトレーニング、脱毛などのコースを申し込んで前払いしたが、途中で解約したいーー。そんな相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられています。
ある人は、6か月間の高額なパーソナルトレーニングを申し込んだものの、持病の悪化により、トレーニングを受けられなくなりました。そこで解約して残りの分の月謝を返金してほしいとトレーナー側に相談したものの、「支払後の返金には一切応じられませんのでご注意ください」と書かれた契約書の文言を理由に断られてしまいました。約70万円(6か月分)をすでに振り込んでいるそうです。
また、別の人は、医療機関で両足の脱毛5回コースなど、総額で約25万円の契約をしました。しかし1回目で毛が生えてこなくなりました。契約書には「返金できません」、「解約できません」と書かれているようですが、返金を希望しています。
こういったサービスは、「返金には応じない」とあっても、事情によっては解約できるのでしょうか。前島申長弁護士に聞きました。
●途中解約できる業種、できない業種
「英会話(語学教育)や脱毛(エステティック)などの継続的な提供を受ける契約については、たとえ契約書に『返金に応じられません』などの規定があったとしても、『特定継続的役務提供』として途中解約が可能です(特定商取引法41条)。
特商法41条で規定されているサービスは、エステティック、語学教育、学習塾等、家庭教師等、パソコン教室等、結婚情報提供の6種類であり、期間が1か月(エステ)ないし2か月(その他)を超えて金額が5万円を超えるものです。
特定継続的役務提供の中途解約を消費者が申し入れた場合は、解約損料を支払う必要がありますが、法律によって上限額が定められています。エステの場合、サービス利用後は、未使用サービス料金の1割か2万円の低い方、英会話では、未使用サービス料金の2割か2万円の低い方が上限となります」
パーソナルトレーニングの場合はどう判断されるのか。
「パーソナルトレーニングについては、そのサービス内容により、判断をすることになりますが、一般的には難しいと思われます。
特定継続的役務提供にあたるかどうかは、政令(特定商取引に関する法律施行令)で詳細に規定されていますが、例えば、増毛や植毛の類、小学校・幼稚園受験の役務、ピアノ・習字などの技芸などは特定継続的役務提供にあたらないとされています。
もっとも、特定継続的役務提供にあたらない場合であっても、他の規定(例えばクーリングオフ期間経過後であっても契約書に不備があるようなケース)や消費者契約法など他の法律により解約が認められる場合はありうると思われます」