外務省がまとめたイラク戦争の検証報告書をめぐり、都内のNPO法人が情報公開を求めていた裁判の判決で、東京地裁(朝倉佳秀裁判長)は11月20日、NPO法人の訴えを退けた。
報告書は、2012年に取りまとめられたもの。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」(三木由希子理事長)が情報開示を請求したが、外務省が不開示としたため、裁判になっていた。
裁判の途中、外務省は全部不開示とする決定を2回変更し、報告書の内容を3分の1ほど明らかにしている。三木理事長によると、この一部開示により報告書が17ページしかなかったことなどが分かったという。
三木理事長は、判決後の記者会見で、「17ページの割に項目数が多く、一般的な話も多い。不開示の部分に外交・防衛上の危機に当たることが書き込めるとは思えない」と述べた。控訴も検討するという。
●裁判所も何が書いているか知らない
国防や外交などの情報公開は、国にとってリスクになりえるため、情報公開法でも不開示について行政側に広い裁量を認めている(同5条3号)。
反面、行政側がリスクを強調し、情報公開に消極的になれば、国民の知る権利が損なわれたり、適切な事後検証ができなくなったりする恐れがある。
開示しても問題ない情報まで、非公開にしていないかーー。三木理事長にはそんな問題意識があったという。
情報公開をめぐる裁判では、裁判所も不開示部分に何が書かれているか分からず、行政側の言い分を前提とした判断にならざるをえない部分がある。
弁護団長の秋山幹男弁護士は、裁判所が文書の内容を確認した上で審理する「インカメラ審理」を導入すべきと話した。