子どもが病気になった時、仕事をどうするべきかーー。子育てをしながら働く人なら、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、「子どもの病気で急な欠勤が続き、仕事を辞めさせられそう」といった相談が寄せられています。
あるシングルマザーの相談者は、週4〜5日、午前9時半〜午後4時までアルバイトをしています。採用面接の時にはシングルマザーであることや、「子どもが熱を出して保育園や学童にいけない時は、当日欠勤する可能性がある」と伝えて採用されたものの、担当者が変わった途端に出勤日数を減らされ、さらに「辞めてもらうかもしれない」と言われたそうです。
面接で条件を伝えた上で採用されたとしても、使用者(例えば会社など)側の都合で辞めさせられてしまうのでしょうか。またそのような場合、どうしたら良いのでしょうか。山崎 新弁護士に聞きました。
●契約内容を確認しよう
欠勤を理由にした解雇は、避けられないのでしょうか。
「一般的には採用時に欠勤があると確認していたなら、後に使用者がそれを理由に解雇するのは不当です。ただ、採用時に説明していても、そのことがきちんと雇用契約に反映されていたかどうかが重要ですし、また実際にどのくらい欠勤しているのか、業務にどのくらい支障があるかなどにより、解雇が有効になることもありえます」
相談者は出勤日数を減らされてしまったそうです。
「出勤日数を減らされた点についても契約内容の確認が重要です。勤務日数や労働時間は労働条件の基本ですから、採用の際に使用者が明示しなければなりません。よく確認し、そのうえで契約内容を守ってもらうよう要求・交渉していくべきでしょう」
●妊娠・出産・育児中の労働者には様々な権利がある
子育て中の労働者が休む権利はどの程度あるのですか。
「そもそもパートでも6か月以上勤務していれば有給休暇が取得できますし、さらに妊娠・出産・育児中の労働者には育児介護休業法上の様々な権利があります。例えば、会社の規定やお子さんの年齢にもよりますが、『子の看護休暇』や『所定労働時間の短縮措置』が使える場合もあります。そうした制度を利用した労働者を不利益に扱うことも均等法で禁じられています」
もし辞めさせられてしまった場合には、どうすれば良いのでしょうか。
「弁護士や行政機関の相談窓口に相談することをお勧めします。お近くの労働局雇用環境・均等部や都道府県の労働相談センターでは、相談や情報提供だけでなく、使用者側と任意の話し合いをするあっせんという制度もあります。ただ、それは強制力のある手続きではないので、解決できない場合には弁護士に依頼して労働審判や訴訟へ進むことになります」