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派遣法改正案「3年後にはいられなくなると派遣先に言われた」衆院可決、労働者が抗議
弁護士と派遣労働者が抗議会見を開いた

派遣法改正案「3年後にはいられなくなると派遣先に言われた」衆院可決、労働者が抗議

後半国会の焦点の1つだった労働者派遣法改正案が6月19日午後、衆議院本会議で、自民・公明両党などの賛成多数で可決され、参議院に送られた。衆院で可決された約1時間後、改正案に抗議する弁護士や派遣労働者たちが、東京・霞ヶ関の厚労省記者クラブで会見を開いた。

会見に出席した棗一郎弁護士は「永久の派遣が可能となる法案だ」と、語気を強めて批判した。

「3年に1回(人を)とりかえれば、あらゆる業務において派遣を使える。使用者側の裁量によっては、正社員がいらなくなる。私たちのもとには、既に、雇用を切られると予告されているという相談も多く寄せられている。こんなものは廃案にしてほしい」

現在の労働者派遣法は、一部の業務をのぞき「同じ仕事」で派遣労働者を受け入れられる期間は最長で3年だ。しかし改正案は、「同じ仕事」でも3年ごとに人を入れ替えれば、新たな派遣労働者を受け入れ続けることが可能になる。

●50代後半のシングルマザー「私のこれからをどうしてくれるのか」

会見には派遣労働者として働く当事者の女性たちも出席し「労働者の権利を守らない法律に変えるのは、馬鹿げたことです」などと批判の声をあげた。

出席した1人で、50代後半のシングルマザーの女性は「10年以上にわたり、同じ職場で同じ仕事を続けてきましたが、先日、派遣先の人から、3年後にはいられないと早くも言われました」とあかす。

「この年齢で仕事を失うのはものすごく怖い。次の仕事がないと分かっているからです。私は、派遣先の直雇用も断られ、派遣元の会社からも、年齢的な面で、今より良いところはもう紹介できないと言われています」

そして、「老後の生活費をためないと生きていけません。私のこれからをどうしてくれるのか、と議員の皆さんに問いたいです」と声をふるわせながら訴えた。

(弁護士ドットコムニュース)

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