入社してまだ4日だけど退職したい——。就職後にミスマッチを感じた男性が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。
●【相談】営業以外の雑務が多く…
賃貸アパート管理会社に営業職として入社しました。入社後、仕事内容が営業以外の雑務が多いことがわかりました。未分別のゴミの回収や放置自転車の撤去依頼手続きなどをしています。
雇用契約書には退職願を出す場合、退職希望日の1カ月前に届け出るよう記載があります。入社して4日後に退職願を出しても問題ないのでしょうか。
●【回答・ 金井英人弁護士】
まず、退職願を出すこと自体は、個々人に職業選択の自由がありますので、入社後すぐであっても可能です。問題は、退職希望日をいつにすることができるかです。
退職の方法には、一方的に雇用契約の解約を通知する「辞職」と、雇用契約の解約について会社との合意をする「合意解約」があります。
合意解約ができる場合には、退職することについて会社が了承するわけですから、退職希望日の時期が問題になることはありません。その時期が問題になるのは、会社が退職を了承しない「辞職」の場合です。
●退職希望日の2週間前までに届け出が必要
民法では、期間の定めのない雇用の場合には、いつでも解約の申し入れをすることができ、申し入れの日から2週間経過すれば退職したことになります。言い換えると、退職希望日の2週間前までに届け出をしなければなりません。
また、会社で独自に「希望日の1か月前」などと2週間を超える期間を定めている場合にそれが有効かについてはケースバイケースですので、そのような定めがある場合には、希望日の1か月前に届け出るのが無難です。
なお、有期雇用の場合には、契約期間途中での辞職ができるのは、「やむを得ない事由」があるときに限られます(これには例外もあります)。
●契約時と仕事の内容が異なる場合は別
もっとも、就職の際に雇用契約で確認した仕事の内容と、実際の仕事の内容が異なるようなケースでは、即時に契約を解除することができる場合があります(労働基準法15条2項)。
つまり、今回のケースで、入社4日後にすぐ退職したい場合には、雇用契約時に仕事の内容についてどのように説明をされていて、実際に行っている仕事がその説明とどれほど食い違っていたかというのがポイントになります。
ただ、会社にとってみれば、従業員が入社後すぐに退職してしまうのは損失をともないますので、トラブルを避けるためにも、退職のタイミングは専門家に相談するなどして慎重に見極めたほうがよいでしょう。