「霞が関の『ブラック』な状況をなんとか『ホワイト化』することを優先順位高くやっていかなければならない」ーー。河野太郎行政改革担当相は9月17日の記者会見でこう発言した。
官僚の働き方をめぐっては今年8月、ワーク・ライフバランス社が「官僚の働き方アンケート」(対象:現役の国家公務員480人、今年3〜5月の働き方)の結果を発表。全体の約4割が月100時間超の残業をしていた。このほかにも、長時間労働を示す調査結果は複数ある。
しかし、人事院によると、2018年の超過勤務の年間総時間数は、本府省では356時間。単純に12カ月で割れば、残業は月30時間ということになる。
サービス残業が大量に発生しているが、国は適正に支払っているというスタンスだ。官僚が命令されていないのに勝手に仕事をしているということになっている。
元厚労省の官僚でYouTuberのおもちさんは、「まずは正確な労働時間を公表してほしい」と話す。
霞ヶ関は総理案件だとしても、既定予算を超えると『職員の勝手な残業』と処理し、正確な残業時間を公表していない。過去、政府も同旨の答弁をしている。業務量が増えても、予算=残業時間のため、定員増の要求はできず、月数百時間もの残業が必要となる。まず正確な労働時間を公表して議論すべき。 https://t.co/wAOVKGmKXU
— おもち@元官僚系YouTuber (@ex_kanryo_mochi) September 17, 2020
●「東大の官僚離れ」も
このような職場環境がひとつの原因であろうか。30歳未満の若手男性官僚の7人に1人(14.7%)が数年以内の辞職をしたがっているとの結果もある(内閣人事局の意識調査、2019年11月〜12月に、無作為に抽出した国家公務員約4万5千人から回答)。
その理由の上位(複数回答)だったのが「もっと魅力的な仕事に就きたい」(49.4%)、「収入が少ない」(39.7%)、「長時間労働で仕事と家庭の両立が困難」(34.0%)
この結果を極端に受け止めると、すでに官僚の仕事は若手にとって魅力あるものではないのだと言える。
実際に2020年度(21年4月採用)の総合職採用試験の受験申し込み者数は過去最低。また、東京大学の合格者は前年度より58人減り、過去最少となった。
「霞が関を志望してくれる人が減り、勤務を始めた若い人がかなり早い段階で辞めたいという状況になっている」。極めて危機的な状況という認識を示した河野大臣。今後の取り組みが注目されている。