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2016年02月20日 00時00分

「愛する妻に全財産残したい」願いを叶える「遺言書」の書き方

「愛する妻に全財産残したい」願いを叶える「遺言書」の書き方
画像はイメージです(よっちゃん必撮仕事人 / PIXTA)

遺言書がしっかり書いてあれば相続の問題でもめることもなかったのに・・・。そんな悩みを抱える家族は少なくないようです。ですが、遺言書というと、親族から「その遺言書は無効だ!」横槍が入り、トラブルになったという話もよく聞きます。

形式など、遺言を書く上でのルールがあるのでしょうか。相続の問題に詳しい高島秀行弁護士の解説をお届けします。

(質問は弁護士ドットコムの法律相談コーナー「みんなの法律相談」に寄せられた相談をもとに編集部が作成しました)

●苦労をかけた妻に、全財産を相続させたい

妻には苦労をかけたので、私の財産を全て相続させたいと考えています。まだ遺書を書くには早い年齢だと思っていますが、いつ交通事故で死ぬかもしれないので思い立ちました。子どもはいませんが、兄弟が2人と父母がいます。

周囲の同年代の知人は、まだ遺言書を書いたという人もいないので、どんな点に注意すればいいのかわかりません。この先の財産がどうなるかもわからないので「全ての財産を妻に相続させる」という書き方でもよいのでしょうか。後で書き直すことはできるのでしょうか。

●高島弁護士の解説ポイント

・遺言書は大きくわけて「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2種類がある ・「公正証書遺言」は紛失や焼失しても再発行可能。作成に費用と時間がかかる ・「自筆証書遺言」は作成は簡単。遺言が気づかれない、紛失したら無効になる ・遺言書は何度でも書き直すことができる

●遺言書は2種類、それぞれのメリット、デメリットは?

遺言書には、大きく分けて2種類あります。1つは公正証書遺言で、もう1つが自筆証書遺言です。自筆証書遺言は、紙に、本人が自分で遺言内容を書いて署名捺印をすれば作成できるので、簡単に作成でき、費用もかからないというメリットがあります。

しかし、自筆証書遺言には、大きなデメリットがあります。それは、本人が亡くなるまでに、遺言書が紛失・焼失などにより無くなってしまうと無効になってしまうということです。相続人が、遺言書があることに気づかなければ、遺言が埋もれたままになってしまいます。

また、全文自筆で書かれなければならず、日付が書かれ、署名捺印がなされている必要があります。これを満たしていない遺言書は無効となってしまいます。内容がワープロ打ちでは署名捺印があっても無効ですし、全文自筆で署名があっても捺印がなければ無効となってしまいます。

それに、自筆証書遺言は、本人が亡くなった後に、裁判所で検認手続をしないと、不動産の登記名義の変更や、預金の解約といった相続手続をすることができません。

●公正証書は、費用と時間がかかるが後々安全

これに対し、公正証書遺言は、公証役場で公証人に作成してもらうので、作成費用が十数万円かかってしまいます。また、公証役場と打ち合わせをする必要があり、予約を取って行かなければならなくて、作成が面倒だということがあります。

しかし、公正証書遺言は、公証役場に原本が保管記録されているので、紛失・焼失などにより無効となることがありません。仮に遺言者が作成時に公証役場からもらった遺言書を無くしても、相続人が本人死亡後に問い合わせれば遺言書の有無も回答してくれますし、正本を再発行してくれます。

また、公証役場が作成すれば、自筆証書遺言のように法律上の要件を満たさないとして、後から無効とされることはありません。これらが、自筆証書遺言と比べて大きなメリットとなります。

また、自筆証書の場合、本人が死亡した後、検認手続をしないと相続手続ができないと言いましたが、公正証書遺言は検認手続が不要です。検認手続をする場合、相続人全員に対し裁判所から呼び出し状が送付されるので、他の相続人に遺言書の内容を知られてしまいます。

公正証書遺言の場合、検認手続が不要なので、他の相続人に遺言書の内容を知られずに済む可能性があります。

●どちらを選べばいいのか?

簡単に作成できるのは自筆証書遺言です。しかし、全文自筆で書かなければならず、日付を落としてもいけないし、署名捺印もしなければならないという要件を必ず満たさなければならないこと、本人が亡くなるまできちんと保管されなければならないことを考えると、公正証書遺言の作成をお勧めします。

70歳で作成しても、亡くなるのが80代だと、10年以上保管しておく必要があります。「10年前の書類がありますか」と聞かれて、きちんと保管されている方はどれくらいいるでしょうか。

また、災害等で紛失・焼失してしまう可能性もありますし、遺言書で不利なことを書かれた相続人が見つけて破棄してしまえば、それで遺言書はこの世から消えてなくなってしまうというリスクもあります。

●それでも「自筆」にチャレンジしたい人は?

それでも、自筆証書遺言にチャレンジしたいという場合には、パソコンで作成せず、全文自筆で書いて、日付を書いて、署名捺印するということを忘れないようにして欲しいです。

「遺産の全部を●●に相続させる」という遺言であればよいですが、遺産が複数あったりして複雑な内容の場合は、後で遺言書の解釈を巡って紛争とならないように、弁護士と打ち合わせて遺言の内容や表現を決めた方がよいと思います。

遺言書を書いたとしても、遺留分(他の相続人が主張出来る取り分)の問題が発生する可能性もあるので、その点についても弁護士に相談してから遺言書を作成した方がよいと思います。

作成後は、保管方法を考えることと、遺言書があることを遺言で遺産を取得することになる人に伝えておくことが大切です。

なお、遺言書は、公正証書遺言でも、自筆証書遺言でも、何度でも書き直すことができます。一番最後に作成した遺言が有効となります。

(弁護士ドットコムライフ)

取材協力弁護士

高島 秀行弁護士
「ビジネス弁護士2011」(日経BP社)にも掲載され、「企業のための民暴撃退マニュアル」「訴えられたらどうする」「相続遺産分割する前に読む本」(以上、税務経理協会)等の著作がある。ブログ「弁護士高島秀行の遺産相続・遺留分の解決マニュアル」を連載中。
https://souzoku-soudan-bengoshi.jp

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