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消えた「婚約指輪」、犯人は「夫」しかいない! 離婚したら誰のもの?
写真はイメージです(Ushico / PIXTA)

消えた「婚約指輪」、犯人は「夫」しかいない! 離婚したら誰のもの?

「夫から結婚前にもらった婚約指輪は、離婚したらワタシのものですか」。弁護士ドットコムに、そんな相談が寄せられました。

相談者によると、夫は結婚する前、婚約指輪として女性に渡しました。ところが、結婚後は自宅のどこかに隠しており、女性は自由につけることができずにいるそうです。

夫がケチでいつか売却してやろうと考えているのか、それとも自由に装着させたくない別の事情があるのか、など詳しいことはわかっていません。

この夫と離婚する際には、婚約指輪は誰のものになるのでしょうか。近藤美香弁護士に聞きました。

●離婚時には妻がもらえる

ーーそもそも贈った後の婚約指輪の所有権はどうなりますか。離婚時に妻は当然にもらうことができるでしょうか

「婚約指輪は一般的に、婚約した記念として男性から女性に贈るものと考えられます。

今回のケースでも、結婚する前に男性が女性に対して贈与したと考えられますので、婚約指輪の所有権は、女性にあるものと考えられます。したがって、妻のものである以上、離婚時には妻がもらうことができると考えられます」

ーー結婚後にもらった宝石類の場合、結論は変わりますか

「結婚後に、妻が夫から高価な宝石をもらった場合は、婚約指輪と少し考え方が異なると思われます。

ただし、結婚後であっても、夫が妻に日頃の感謝や気持ちを込めて贈る等、妻に所有させる意思で贈ったような場合は、婚約指輪と同様に、その宝石の所有権は妻が取得するものと考えられます。

一方で、例えば、家の代々の資産とするような趣旨で、夫が妻に高価な宝石を贈ったような場合は、その宝石は、夫婦の共有財産と判断される可能性があると考えられます」

●もし売られたら、財産分与で「売却代金は妻のもの」と主張

ーー結婚前にもらった婚約指輪を、実は夫がすでに売却していたという場合、妻はどのような手段に出ることが考えられますか   「指輪を夫が持っている場合であれば、指輪を返すよう請求できます。しかし、夫が既に売却してしまったことが判明したような場合は、ちょっと難しいです。

仮に、他人同士であれば、指輪の価値や売却代金について、不法行為による損害賠償請求や不当利得返還請求等の手段が考えられますが、夫婦間でそのような訴訟をすることは現実的とは言えません。

そこで、(1)離婚協議の際に夫が妻の婚約指輪を売却した行為を有責行為として、慰謝料を請求したり、(2)財産分与(離婚の際に資産を分けること)をする際に売却代金については妻のものである、と主張したりする方法などが考えられます。

(2)の方法が一般的と考えられますが、夫婦間に分けられる資産が残っていない場合(債務超過の場合等)には、財産分与はなされないため、(1)の方法をとるしかないと考えられます」   (弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

近藤 美香
近藤 美香(こんどう みか)弁護士 エトワール法律事務所
弁護士登録直後から大手弁護士法人にて500件以上の離婚・不倫慰謝料問題の解決に関与。夫婦カウンセラー資格保有。これまでのキャリアを生かし、独立後も引き続きこれらの問題に注力しています。

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