同居する義理家族による壮絶な嫁いびり。耐えきれずに1歳の娘と実家に帰ると、「離婚するなら親権は絶対渡さない!」と姑たちに主張されたーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこんな悩みが寄せられています。
相談者は姑(義母)に「旦那の給料を使い込んでる」「家事をやらない」などと怒鳴られるほか、大姑(義祖母)、小姑(義姉)からも責められる毎日を過ごしていました。
家事のダメ出しに加えて、酒癖の悪い姑による暴力も…。まったく助けてくれない夫、そして大姑、姑、小姑の3人によるつらい毎日に疲れ果て、相談者は娘と実家に帰ります。そんな相談者に、姑は「離婚は認めるが、親権は絶対渡さない」と主張してきたのです。
同居中から、夫は育児をまったくせず、ワンオペ状態でした。夫は家計にも貢献しているとは言い難く、相談者は今まで自分の貯金を削り、実家に助けてもらうなどして生活していたといいます。「このような状況でも親権は義理家族の方に取られてしまうのでしょうか?」と相談者は尋ねています。橘里香弁護士に聞きました。
●「親権者になれるのは、父母のみ」
相談者は「姑や小姑たちに親権をとられてしまう」と心配しています。法律相談ではこのような親族が親権を主張することが度々あるそうですが、実際のところどうなのでしょうか。
「姑の一方的主張のみで親権を取られることはありません。そもそも親権者になれるのは、父母のみです。養子縁組をしない限り、姑が親権者となることはありません」
そもそも、父母のどちらが親権者になるかはどのように決まりますか。
「基本的には『子の利益』という観点から、父母どちらが適格であるかが総合的に判断されます。大姑、姑、小姑という監護補助者の存在も重要ですが、一番重要なのは、親権者である父母それぞれの状況です」
●「相談者が親権者として指定される可能性が高い」
この家庭では、夫が育児をしないものの、同居する大姑、姑、小姑は育児や家事の戦力にはなりそうです。
「姑らが育児を行う旨主張したとしても、親権者ではなく、監護補助者にすぎません。今回のケースでは、相談者に親権が認められる可能性が高いかと思われます。
相談者の場合、お子さんは1歳と小さく、主に相談者が監護をしてきました。子の主たる養育者を変更することは、子に心理的不安定をもたらす危険があることから、子に対する遺棄や放置などの特別の事情のない限り、現実の監護者を優先させるべきとの考え方があります。
別居後、相談者は現在、お子さんと一緒にご実家に戻り、相談者が監護している状況とのことです。裁判所で判断される際には、相談者が親権者として指定される可能性が高いといえるでしょう。
なお、相談者が親権を得るためには、まずは、お子さんだけご主人の実家に戻されるようなことがないように注意することが大切です。その可能性が高いようであれば、早期に離婚調停の申立を行い、裁判所の関与がある形で協議を進めていくことをお勧めします」
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