別れた後に妊娠がわかった大学生の元カレが「認知しない、養育費も払わない」と中絶を迫ってきた——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
出産するつもりだった相談者は、中期中絶(妊娠12週以上22週未満の中絶)を求められても拒否し、妊娠中のストレスを避けるために連絡を断ったそうです。もっとも、元カレの個人情報や友人関係は把握しており、出産後の認知や養育費の支払いは諦めていません。
「父親は確実に元カレ」という相談者ですが、元カレが認めない可能性もあります。出産後の認知や養育費の支払いを求める際、どう対処すれば良いのでしょうか。理崎智英弁護士に聞きました。
●父子関係を証明する最も有効な方法は「DNA鑑定」
——元カレが父親であることを確定させるためには具体的にどのような手続きが必要でしょうか。
元カレが任意に認知することを拒否している場合、最終的には認知の訴えを提起して判決を得る必要があります。いきなり訴訟提起はできないので、まずは認知調停を申し立てる必要があります(調停前置主義)。
訴訟で父子関係の成立を証明するための最も有効な方法は「DNA鑑定」です。DNA鑑定によって父子関係を証明することができれば、認知を認める判決を得ることができます。
もっとも、元カレがDNA鑑定に応じないケースも考えられます。そのような場合でも、元カレが応じない合理的な理由が特にないときには、元カレの態度も斟酌し、他の事情(交際当時の事情等)も考慮されます。
例えば、相談者が元カレ以外とは性行為を持っていなかったことが立証された場合等には、父子関係が認められる可能性があります。
——父親であることが裁判で確定した場合、自動的に養育費を払う義務が生じるのでしょうか。
判決で認知の効力が認められた場合、子の父親である元カレは、子を養育する義務を負いますので、相談者に対して養育費を支払う義務を負います。
元カレが養育費を任意に支払わない場合には、養育費調停を申し立て、最終的には裁判官による審判で養育費の金額を確定することになります。
審判で確定したにもかかわらず、元カレが養育費を支払わない場合、元カレの財産や給与等を差し押さえることで養育費を回収できます。