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2021年01月26日 10時06分

定年後、熟年不倫にハマった夫の暴言に苦しむ妻 「老いらくの恋」の代償は【判例を読む】

定年後、熟年不倫にハマった夫の暴言に苦しむ妻 「老いらくの恋」の代償は【判例を読む】
裁判所(xiangtao / PIXTA)

子育ても落ち着き、定年退職を迎えた後は、夫婦で穏やかな第2の人生を歩みたいーー。このように考えている夫婦も少なくないだろう。

しかし、夫の不倫が原因で、33年間の結婚生活に終止符を打った事例もある。

夫婦はこれまで旅行などを楽しむ仲だったが、夫が定年退職後に不倫に走ったことで関係は一変。裁判で争うことになった。妻は夫に離婚と離婚慰謝料などを求めるとともに、不倫相手に対して慰謝料を請求した。

夫は不貞関係を持ったのは「婚姻関係が破綻した後」と主張。不倫相手は不貞関係を否定した。これに対して裁判所は、夫は離婚慰謝料500万円、不倫相手は慰謝料300万円をそれぞれ妻に支払うよう言い渡した(仙台地裁平成13=2001年3月22日判決:注)。

仲睦まじかった夫婦は、なぜ裁判で争うことになったのだろうか。

●定年後、夫は妻に隠れて不倫に走るように…

裁判所が認定した事実によると、妻である女性は夫と1967年に結婚し、その後、2人の子ども(娘と息子)に恵まれた。夫婦は長年共働きを続けていたが、女性は1995年に仕事を辞めて専業主婦に。夫は1997年に定年退職後、翌年の5月まで働き、その後は無職となった。

夫婦は一緒に旅行に出かけて花の写真を撮るなどして楽しむ仲だった。1998年11月ごろにも夫婦で祭などに連れ立って出かけていたという。

画像タイトル 写真はイメージです(8x10 / PIXTA)

ところが、夫は女性に隠れて不倫に走り、不倫相手との関係を深めていった。そして、不倫相手と一緒にタイへの旅行を旅行会社に申し込むなどし、1999年1月ごろから頻繁に外出や外泊をするようになった。

同じ年の3月、女性はタイ旅行の申込書の控えを発見。夫の不倫が発覚することとなった。

●「別れない」「ぶっ殺す、出ていけ」豹変した夫

女性に不倫について責められるようになった夫は、同じ年の4月、不倫相手との関係を終わりにする旨の念書を書いた。しかし、不倫相手との関係を断ち切ることはできなかった。

女性は毎日のように、夫に不倫をやめてほしいと頼んだ。すると、夫は女性に暴言を吐いたり、暴力を振るったりするようになった。テレビやマッサージ機のリモコンを女性に投げつけて眼瞼皮下出血の傷害を負わせたこともあったという。

画像タイトル 写真はイメージです(マハロ / PIXTA)

それからは、夫がほとんど自宅に戻ってこないという状態が続いた。夫が念書を書いてから2カ月後の6月、女性は夫婦関係調整の調停を申し立てたが、不成立に終わった。

その後も女性は夫に不倫をやめてほしいと頼んだ。しかし、夫は「(不倫相手とは)別れない」「(女性の)顔も見たくない」「ぶっ殺す、出ていけ」などと言った。暴力をふるわれそうになった女性は身の危険を感じ、7月に自宅を出て娘のアパートに身を寄せた。

画像タイトル 写真はイメージです(aijiro / PIXTA)

同じ年の10月、女性は夫に離婚や慰謝料などを求めるとともに不倫相手に慰謝料を請求するため、裁判に踏み切った。夫と不倫相手の関係は、裁判が始まってからも変わることなく続いていた。

●夫は「婚姻関係の破綻」を主張、不倫相手は不貞関係を否定

裁判で、夫は不貞関係を持ったのは「婚姻関係が破綻した後」と主張し、婚姻関係が破綻したのは1997年3月過ぎごろだと主張した。不倫相手は不貞関係を否定した。

しかし、裁判所は夫の主張を採用しなかった。夫が婚姻関係が破綻したと主張している時期の翌年、1998年11月ごろに夫婦で祭に出かけるなどしていたためだ。女性が繰り返し夫に不貞関係を止めてくれるよう求めていたことにも注目した。

そして、婚姻が完全に破綻したのは、女性が自宅を出て娘のアパートに身を寄せた1999年7月以降だとし、「本件婚姻の破綻原因が(夫ら)の不貞関係にあることは明らか」であると示した。

画像タイトル 写真はイメージです(kou / PIXTA)

不倫相手が否定した不貞関係についても、遅くとも1998年11月ごろには「(夫と不倫相手との間に)不貞関係が生じていたことは明らかであり、かつ、その不貞関係は本件訴訟が係属した後も続いていたことが認められる」とし、不倫相手の主張を退けた。

こうして、33年間の婚姻生活は幕を閉じた。婚姻年数やさまざまな事情が考慮された結果、夫は離婚慰謝料500万円、不倫相手は慰謝料300万円を支払うことになった。

注:この裁判例では財産分与に関しても争点とされていたが、本記事では触れない。 また、本件は控訴しているが、その後の詳細は明らかにされていない。

【監修協力弁護士】
三本 章(みもと・あきら)弁護士
千葉県弁護士会所属。弁護士の敷居が高くて相談できなかった、相談した時には手遅れだったということにならないように、良い意味で敷居が低く話しやすい弁護士として業務に取り組んでおります。
事務所名 :弁護士法人 法律事務所オーセンス
事務所URL:https://www.authense.jp/

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