弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. 離婚・男女問題
  3. 新婚早々「夫の借金」が発覚、義母は「結婚できなくなるから黙っていた」と開き直り
新婚早々「夫の借金」が発覚、義母は「結婚できなくなるから黙っていた」と開き直り
写真はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

新婚早々「夫の借金」が発覚、義母は「結婚できなくなるから黙っていた」と開き直り

結婚後に夫に借金があることが発覚したーー。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられている。

相談者は夫と結婚して約1カ月。新婚早々発覚したのは、夫が消費者金融に約200万円を借りているという事実だった。

相談者によると、夫は結婚前、相談者の両親に「借金はあるか」と聞かれ、「ありません」と答えていたそうだ。夫と義母(夫の母親)は「借金のことを(相談者やその両親に)言えば結婚できなくなる」と思い、借金があることを黙っていたという。

夫は借金があるにも関わらず、高価なものを買うなど、金銭的にルーズな面もあるようだ。

●協議や調停で離婚の話がまとまらない場合は?

相談者は今後、夫と夫婦として歩み続けることに不安を感じ、離婚を検討している。離婚問題に詳しい村木亨輔弁護士は、次のように語る。

「お互いに離婚することに納得しているならば、協議離婚で済むでしょう。しかし、どちらかが離婚することに納得していない場合には、まず、家庭裁判所に調停を申し立て、調停でも話がまとまらないなら、裁判で決着をつける必要があります。

裁判で離婚が認められるケースとして、民法では5つの事由を挙げています(民法770条1項)。

1号から4号までは、不貞などいわゆる具体的離婚原因と言われるのに対し、5号『その他婚姻を継続しがたい重大な事由』は抽象的離婚原因と言われています。たとえば、暴行・虐待、過度の消費・借金・ギャンブル、長期間の別居などが挙げられます」

●収入に比べて多額な借金の有無は、結婚生活を続けていく上で大切な要素

相談者は、借金があったことを理由に離婚を検討している。村木弁護士によると、この場合は1号から4号までの事由にはあたらないため、5号「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるかが問題となるという。

「婚姻前に多額の借金があり、収入からは返済が難しいにも関わらず、その点を明らかにすることなく婚姻した場合、婚姻後の生活関係が破たんしかねません。そのため、借金の有無は、婚姻生活を続けていく上で、非常に大切な要素といえます。

今回のケースでは、夫が約200万円の借金を負っていたとのことですが、収入や資産の状態から返済が難しいといえるようならば、上述の民法770条1項5号記載の『婚姻関係を継続しがたい重大な事由』に該当するおそれがあります。

他方、約200万円の借金があっても、夫に実現可能な返済のあてがあるようなら、上記事由に該当するとまではいえないでしょう。もちろん、新たに借金して返済にあてるなどは論外です。

なお、当事者ではない義母も、息子の借金のことを伏せていたようですが、借金の有無は夫婦間の問題に過ぎませんので、この点はあまり関係がないでしょう。要は、妻が夫からどのように聞いて、認識していたのかが大切ということです。

いずれにせよ、夫婦間で良く話し合い、その上で、今後のことを決めるのが一番ではないでしょうか」

プロフィール

村木 亨輔
村木 亨輔(むらき きょうすけ)弁護士 虎ノ門法律経済事務所 神戸支店
虎ノ門法律経済事務所神戸支店の支店長弁護士。東京本店を中心に、全国に31の支店があり、今後も各地に拡大する予定。本店支店間が相互に連携を取ることにより、充実したリーガルサービスの提供を可能とする。

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では正社員スタッフ・協力ライター・動画編集スタッフと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

正社員スタッフ・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする