交際していた男性が既婚者だったと知り、激怒した女性が「なめてると海に沈められるよ」などと男性を脅したとして、恐喝未遂容疑で12月中旬、警視庁に逮捕された。時事通信などの報道によれば、女性は「既婚者であることを隠された悔しさがあり、慰謝料を得ようと思った」などと供述したそうだ。
女性は「既婚か未婚か証明してください。なめてると海に沈められるよ。500万もってこい」などとメールで複数回、送信していた。ネットでは女性の行為はともかく、既婚者と知らされずに交際してしまった女性に、同情する声も上がっていた。
●既婚の事実を隠された→「損害賠償請求」を検討すべき
今回、女性はどんな対応をするとよかったのか。
冨本和男弁護士によれば、「今回は事件となってしまいましたが、実際にも、一方が既婚者であることを知らずに交際をはじめてしまうケースは珍しくはない」という。
では、騙されてしまった側はどう対応すれば良いのか。
冨本弁護士は「既婚者であることを知らず、女性が真剣に交際していたのだとしたら、精神的なショックは当然あったと思われます。この場合、精神的な損害を被ったとして慰謝料請求はできるでしょう」と話す。
実際に、このような慰謝料請求訴訟も起こされているという。ただ、その場合「相手の妻から、慰謝料を求められる可能性もあります」と指摘する。
しかし(1)相手が既婚者だと認識していた、(2)不注意で相手が既婚者であることを認識しなかった、この2つに該当する場合にしか、慰謝料請求は認められない。
女性が「既婚者であることを隠された」ことが事実とすれば「結婚していることを本当に知らなかったのであって、慰謝料請求に応じる必要性はありません」。
今回、女性が起こした事件は容認されるものではない。恐喝に及ばなくても、相手の男性に制裁を科すことはできたはずで、なんとも残念な結果になってしまった。