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赤ちゃん捨てた女子中学生が逮捕 「親に話せないなら養護の先生に相談して」と弁護士
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赤ちゃん捨てた女子中学生が逮捕 「親に話せないなら養護の先生に相談して」と弁護士

自宅で出産した赤ちゃんをビニール袋に入れて遺棄したとして、沖縄の女子中学3年生(14)が「保護責任者遺棄罪」の疑いで逮捕された。

報道によると、女子中学生は9月21日、自宅トイレで出産した赤ちゃんをビニール袋に入れ、沖縄県うるま市内の団地の緑地帯に捨てた疑いがもたれている。赤ちゃんは団地の住人に発見され、命に別条はないという。

女子中学生は、警察の調べに対して容疑を認め、「お母さんにも話すことができず、どうしていいかわからなかった」と、供述したという。

母親には我が子を守る義務があるとしても、現実には、14歳の中学生が赤ん坊をひとりで育てるのは難しいだろう。今回の女子中学生のような状況に陥ってしまったら、どう行動すればいいのだろうか。子どもの問題に詳しい杉浦ひとみ弁護士に聞いた。

●弁護士会運営の「子ども110番」に相談する手も

「きっと、すごく不安で怖かったでしょうね。そんな気持ちで何カ月も過ごさずに、早く適切な対応をとってくれる大人に相談することが重要です。

胎児は日々成長し、母体も大切にしなければなりません。そして、将来を見据えた早期の対処が必要です」

ただ、今回逮捕された少女は「親にも話せなかった」そうだ。親以外だと、誰に相談すればいいのだろうか?

「親に話せればいいのですが、家庭環境もさまざまですし、子どもも親には話しにくいでしょうね。

一番身近なのは学校の養護の先生に相談することでしょう。

学校の先生には、子どもを安全に守る職務上の役割がありますので、無責任な対応はできません。そこから、病院や福祉の窓口へと、つないでもらえると思います。

児童相談所や保健所も窓口ですが、少しハードルが高いですね。考えられるのは、学校の先生とか、各地の弁護士会がやっている『子ども110番)です。たとえば、東京の『03-3503-0110』にかけたら地元の窓口を教えてくれると思います。そのほか、DVの法律相談窓口の電話に相談してみると、なんとか次へつないでくれると思います」

●早い段階からの性教育が必要

こうした事件を防ぐためには、何が必要なのだろうか。

「こういった事件が起きてしまう背景には、子ども自身が、妊娠や出産に関する、適切な知識を持っていないことが大きいと思います。

子どもが妊娠するケースでは、自分自身が妊娠していることに気づかないまま、長時間が経ってしまうケースもあります。

だから、子どもには、早い時期から適切な性教育が必要です。『寝た子を起こすな』と言う方もいますが、子どもは寝ていません。また、大人が年少の女児に不当に関わることもあります。自分の身を守るためにも、子どもたちには正しい知識が必要です。

性教育では、どういうことをしたら受精をするのか、妊娠とはどういうものなのかなどを、淡々と指導すべきです。

その上で子どもの性的問題に冷静に適切に関われる場所・人を確保し、子どもたちにそれを性教育の一環として教えておくことが必要です。

こうした条件整備が、喫緊の課題となっています。特に、養護の先生を含めた学校の先生方には、対応の心得と守秘義務を学んでおいてもらいたいと思います」

自ら産んだ赤ん坊を捨てることが許されるはずもないが、中学生はまだ、周囲のサポートが必要な存在だ。学校や行政には、一歩踏み込んだ支援が求められているのかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

杉浦 ひとみ
杉浦 ひとみ(すぎうら ひとみ)弁護士 東京アドヴォカシー法律事務所
子どもの問題に関わりたくて弁護士になる。子どもを中核に被害者問題、DV等の家庭問題、教育問題など、絡み合う社会の問題にかかわる。少年院退院者同士が相互支援する「セカンドチャンス!」、施設内の子どもの性逸脱を考える「性教育研究会」、市民の平和活動「コスタリカに学ぶ会」等に関わる。

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