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「ダブル不倫」の法的リスクはこんなにヤバい…ファンキー加藤さんを事例に検証
ダブル不倫請求のシミュレーション

「ダブル不倫」の法的リスクはこんなにヤバい…ファンキー加藤さんを事例に検証

元ファンキーモンキーベイビーズのファンキー加藤さん(37)と、アンタッチャブル柴田英嗣さん(40)の元妻とのダブル不倫について、6月7日発売の「週刊女性」が報じて大きな話題になっている。

柴田さんと元妻の間には2人の子供がいたが、この不倫を理由に、2人は昨年5月に離婚。子どもは元妻がひきとるも、元妻はその後も加藤さんと関係を続け、6月中に加藤さんの子どもを出産予定だという。加藤さんは、妻とは離婚しないが、子供を認知し、養育費を払う約束をしている。

7日に開いた会見で、「僕から声かけました」「軽率な行動でした」と話した加藤さん。ダブル不倫には、どのような法的リスクがあるのだろうか。澤藤亮介弁護士に聞いた。

●「配偶者」と「不倫相手」の2人に慰謝料請求できる

不倫の慰謝料請求では、不倫した当事者の配偶者が、その配偶者と不倫相手の双方に対して、慰謝料を請求することができます。

ダブル不倫の場合には、相手が独身者の不倫とは異なり、不倫をされた被害者が2人存在するため、展開がやや複雑になります。被害者とは、不倫をした当事者2人の、それぞれの配偶者のことですが、この2人は次のように慰謝料請求権を行使することができます。

(1)夫(A男)に不倫された妻(B子):夫(A男)と不倫相手(C子)に慰謝料請求

(2)妻(C子)に不倫された夫(D男):妻(C子)と不倫相手(A男)に慰謝料請求

今回のケースで言えば、加藤さんの妻は、加藤さんと柴田さんの元妻に慰謝料を請求することができます。一方、柴田さんの場合には、柴田さんの元妻と加藤さんに対して慰謝料を請求することになります。

●「離婚する」場合には、慰謝料も高額になる

ただ、これは原則であり、実際にどのような請求をするのか、請求額はそれぞれ違います。ポイントは「離婚するのか、しないのか」です。

まず、加藤さん夫妻は、離婚しないと報じられています。加藤さんの妻は、加藤さん本人に対してではなく、柴田さんの元妻だけを相手に、慰謝料を請求することになるでしょう。一方、柴田さんの場合は、妻の不倫をきっかけに離婚に至っています。加藤さんと、柴田さんの元妻、それぞれに対して慰謝料を請求することができます。

不倫慰謝料の相場は大体「50〜200万円」です。離婚しない場合は、する場合に比べ、この金額は低くなるのが通常です。また、離婚しない場合には、配偶者に対して慰謝料請求をすることは権利としてあっても、実際に行使することは少ないのではないでしょうか。離婚しない場合には、不倫相手のみに請求することが大半かと思われます。

●子どもの「認知」と「養育費」は?

また、もう1つ考えなくてはいけないのが、生まれてくる子の「認知」と「養育費」の問題です。

加藤さんは同意していると報じられていますが、まず、認知するしないは本人の自由意思に基づきますので、認知の手続きをしていない現時点では、加藤さんが今後翻意して、認知しないこと自体は可能です。

もっとも仮にそうなれば、柴田さんの元妻は、裁判所で認知に関する手続き(強制認知)を行うことができます。その場合、まずは認知調停を申立て、加藤さんと話し合いをすることになります(調停前置主義)。

その後の審判や認知の訴えによる判決などで、加藤さんと生まれてくる子の親子関係が法的に認められると、認知の効果として、加藤さんに対しお子さんの養育費も請求できることになります。その場合、養育費は、お子さんが生まれた時からさかのぼって請求することが可能です。

なお、加藤さんが生まれてくる子の認知をした場合、加藤さんが筆頭者になっていて妻も入っている戸籍の中に、その子を認知した旨の記載(その子が加藤さんの戸籍に入るものではありません)がされることになります。

こうしたケースでは、今回でいう加藤さんの妻の立場の方が、自分も入っている戸籍に不倫相手の子についての記載がなされることを知り、夫に認知しないように求めてトラブルになったり、逆に、知らない間に認知がなされ、その後、自分も入っている戸籍にその旨の記載がされると知って夫とトラブルになる可能性もあります。この点は注意が必要です。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

澤藤 亮介
澤藤 亮介(さわふじ りょうすけ)弁護士 向陽法律事務所
東京弁護士会所属。2003年弁護士登録。2010年に新宿(東京)キーウェスト法律事務所を設立後、離婚、男女問題、相続などを中心に取り扱い、2024年2月から現在の法律事務所でパートナー弁護士として勤務。自身がApple製品全般を好きなこともあり、ITをフル活用し業務の効率化を図っている。日経BP社『iPadで行こう!』などにも寄稿。

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