東京では4年ぶりの大雪となった1月22日から翌日にかけて、雪の影響とみられる交通事故が約890件も発生しました。テレビ朝日の報道によると、22日に雪が降り始めてから、23日午前9時までに、都内では人身事故56件を含む889件の交通事故が発生。多くが雪の影響とみられるそうです。
東京では、慣れない雪道の運転に戸惑う人も多かったようですが、ノーマルタイヤでの雪道走行が交通違反であることはあまり知られていません。実は場合によって、処分も課せられてしまうほど危険な行為で、豪雪地帯と雪の少ない地方ではルールも異なります。一体、どのようなものなのでしょうか。好川久治弁護士に聞きました。
●新潟県と宮崎県のルールを比べてみると…
ノーマルタイヤでの雪道走行はどのような違反になりますか?
「ノーマルタイヤで雪道を走行する行為は、道路交通法71条6号の『道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項』の遵守義務違反となります」
豪雪地帯と雪の少ない地方では、ルールはどのような違いがありますか?
「豪雪地域である新潟県のルールによると、『積雪又は凍結のため、すべるおそれのある道路において自動車又は原動機付自転車を運転するときは、次のいずれかに該当するすべり止めの措置を講ずること』とされ、『イ 駆動輪(他の車両をけん引するものにあつては、被けん引車の最後軸輪を含む。)の全タイヤに鎖等を取り付けること』、『ロ 全車輪に、すべり止めの性能を有する雪路用タイヤを取り付けること』と規定されています。
これに対し、南方の宮崎県のルールによると、『積雪又は凍結している道路において、自動車(二輪のものを除く。)を運転するときは、タイヤチェーン、スノータイヤ等を取り付けるなど、滑り止めの措置を講ずること。』と規定され、二輪車が対象から外されています」
●損害賠償額も大きくなる可能性
万が一、ノーマルタイヤで事故を起こしてしまった場合、刑罰や賠償金などはどうなりますか?
「これらのルールに違反した場合は、道路交通法違反として、5000円~7000円の反則金を課せられます。指定された期日までに反則金を納付しない場合や、交通事故を起こした場合など反則制度の適用がないケースでは、刑事裁判となり、5万円以下の罰金に処せられます(同法120条1項9号)。なお、違反点数の減点はありません。
雪道をノーマルタイヤで走行し、スリップをして交差点等で他人の車や人に接触して損害を与えると、通常よりも落ち度が大きいとして、負担すべき損害賠償額も大きくなる可能性があります。
また、人身事故を起こした場合も、悪質であるとして、自動車運転死傷行為処罰法の過失運転致死傷罪に問われる可能性が高くなり、その場合は7年以下の懲役若しくは禁錮、又は100万円以下の罰金に処せられる可能性があります(同法5条)」
今月に入ってからも、記録的な寒波が続き、地方によっては大雪になっています。くれぐれも雪道の運転は無理せず、きちんと装備をして走行してください。