総務省とチケット販売大手のぴあが、チケット転売防止のために、2018年にも、マイナンバーカードの認証機能でチケット購入者を特定して、本人のみ入場を認める仕組みを稼働させることが日本経済新聞に報じられた。
このシステムでは、コンビニなどでチケットを購入する際に、マイナンバーカードをかざして、個人情報を登録する。当日、入場の際に、カードで認証できれば入場できる。これによって、転売ができなくなる。総務省とぴあは年内にも実証実験を始めるという。
なかなか浸透しきれないマイナンバーカードだが、認証の仕組みとして、どのような活用が想定されているのか。また、マイナンバーの活用と、マイナンバーカードの活用は似て非なるものなのか。水町雅子弁護士に聞いた。
●マイナンバーカード3つの用途
マイナンバーカードは、実は、「マイナンバー」とは全く関係のない場面でも使えます。主な用途は、(1)自分のマイナンバーを証明する手段、(2)運転免許証のような身分証明書、(3)電子的な本人確認の3つです。
わかりにくいですが、マイナンバーを使うのは(1)だけで、(2)(3)ではマイナンバーは使いません。(1)は会社等に自分のマイナンバーを届け出る際、(2)は銀行の口座開設の際等で、今回のチケット購入は(3)です。
(3)電子的な本人確認とは、これは平たくいうと、ユーザIDとパスワードでログインして使っているようなサービスを、マイナンバーカードとパスワードで使うようなイメージです。ユーザIDとパスワードよりも、他人になりすまされるリスクが低く、安全な方法だと言われています。チケット購入のほかにも、ネットオークション、オンラインバンキング、オンライントレード、ネットでの行政手続などでの利用が考えられています。
●軽減税率やカジノ入館もマイナンバーカードの活用の話
よくニュースに取り上げられる話題としては、マイナンバーの活用よりも、マイナンバーカードの活用の方が多く、特に(3)電子的な本人確認としての活用が多いです。軽減税率やカジノ入館にマイナンバーカードが検討されたことがありましたが、それも(3)電子的な本人確認として利用です。スーパーのレジやカジノの入り口でお客さんがマイナンバーカードをピッとかざしてパスワードを打てば、ユーザIDとパスワードを入力したり、会員カードを提示して店員さんにバーコードを読み取ってもらうよりも、なりすましリスクが低くなります。
これに対して、マイナンバーの活用は、カードなしでも可能です。例えば、マイナンバーを不動産登記や銀行口座に付番すれば、脱税の調査等の際に、マイナンバー〇番の人はどのような不動産を所有しているのか、どの銀行の何支店に口座を開設しているのかを把握しやすくなります。また、不正是正にとどまらず、マイナンバーを活用することで、国民目線に立った行政サービスの向上や行政の無駄の排除等も可能です。
このように、マイナンバーの活用とマイナンバーカードの活用は基本的には切り分けて考える必要がありますが、これが大変わかりにくく、政府がマイナンバーカードを普及させようと考えるならば、まずこれを十分にわかりやすく説明し、このことが多くの国民の間で定着することが必要でしょう。