「嫌いな奴の家に竹を植えると家屋を簡単に破壊できて便利」と、竹の生命力を紹介するツイートが話題になった。ツイートには、除草剤の広告画像がついており、「普通の雑草→100倍希釈」、「頑固な雑草→50倍希釈」、「スギナ→25倍希釈」に対して、「竹→原液」となっていた。
弁護士ドットコムの法律相談コーナーでも「竹」に関する隣人トラブルの質問は多い。所有している竹林の隣人から「家の敷地に筍が生えて困るので何とかしてくれ」と何度か苦情を言われた人が対処法を尋ねていた。
別の質問では、「隣家の竹が、こちらの敷地内に侵入してきました。こちらとしては枯らしたい、金輪際、侵入してこないようにしてほしい」として、除草剤の使用が可能かどうかを質問していた。
あるサイトでは、竹と笹は「もはや民間人の手に負えない最凶の悪魔的存在」とまで、その繁殖力の強さが表現されている。
隣家の敷地から竹が侵入してきた場合、除草剤で枯れさせてしまってもいいのか。近藤公人弁護士に聞いた。
●相当注意して根を切ろう
隣地の竹が、境界線を越えて侵入している場合、枝については、これを隣地所有者に切り取らせることができます。また根については、隣地所有者の承諾を得ずに自分で切り取ることができます(民法233条)。
ただし、根を切ることによって、竹を枯らすと権利の濫用となり、逆に損害賠償される可能性もありますので、相当な注意を払って根を切る必要があります。
したがって、隣家の家から竹が侵入してきた場合は、隣地所有者に枝を切らせる請求権があります。タケノコが生えてきた場合も、タケノコを刈り取って処分することが可能です。タケノコの所有権は、切り取った者にあるといわれています。が、今回のように近隣トラブルになりかねない場合は、タケノコは隣地所有者に返還した方が良いでしょう。
●除草剤は竹本体を枯らしてしまうので避けるべき
そして、今回は、除草剤を利用するということですが、自己の所有地内のタケノコのみを、除草剤で枯れさせ、竹の本体が枯れなければ問題はありません。しかし、除草剤を使うと、隣地の竹の本体を枯らす可能性がありますのでやめておいた方が良いでしょう。
「枝の除去を、また根が自己の土地に侵入しないように工作物を作れ」という妨害排除・妨害予防請求の訴訟を提議するしかないと思います。