11月11日に東京・両国国技館でおこなわれた音楽イベント『CLASSIC ROCK AWARDS (クラシック・ロック・アワード)2016』で、参加アーティストとして名前を連ねた世界的ロックギタリスト、ジミー・ペイジさんが実際には演奏しなかったことが波紋を広げている。
●一部のファンが抗議、主催者「チケット代の返金はない」
このイベントは、世界のロックアーティストを表彰して、受賞者がライブパフォーマンスを披露するイベントで、今回初めて日本で開催された。ジミー・ペイジさんのほかにも、ジェフ・ベックさんやジョニー・デップさんなど、多数のアーティストが参加した。
イベント告知のポスターには、ジミー・ペイジさんの名前が大きく書かれており、リリース情報には「『世界3大ギタリスト』の2人、ジェフ・ベックとジミー・ペイジは、日本初共演を果たすことになり…(略)」と記されていた。
また、イベント主催の「KLab Entertainment」の代表取締役をつとめる真田哲弥氏は11月7日、自身のフェイスブック上に「大御所ジミー・ペイジとジェフ・ベックのセッションは多分これが見納め」などと投稿していた。
ところが、ジミー・ペイジさんはイベント当日、プレゼンテーターとして登壇したものの、演奏はおこなわなかった。そのため、一部のファンが「詐欺だ」などと抗議。主催者の「KLab Entertainment」は11月14日、公式サイトで謝罪したが、チケット代の返金はしないと発表した。
●場合によっては、チケット代を返金してもらえる可能性も
今回のチケット代金は、1万8000円〜30万円だった。ジミー・ペイジさんの演奏目当てでチケットを買った人にとっては、かなりショックだったと考えられる。法的に返金してもらうことはできないのか。消費者問題にくわしい岡田崇弁護士は「返金を求めることは難しい」と話す。
「今回のイベントは、ジミー・ペイジさん単独のライブでなく、多数のアーティストが参加する形式でした。ジミー・ペイジさんの演奏は目玉の一つですが、それ以外にも大物アーティストによる演奏がありました。
そのため、ジミー・ペイジさんが実際に演奏しなかったとしても、主催者側にチケット代の返金を求めることは難しいと考えます」(岡田弁護士)
一方で、岡田弁護士によると、真田氏のフェイスブック投稿を直接見て、チケットを買った人は法的に争う余地があるという。
「ジミー・ペイジさんが『演奏する』という情報は重要事項にあたります。真田氏のフェイスブックは、『セッションがある』とまでいえないまでも、『セッションがある』かのような内容です。
主催者(代表取締役)がイベントの重要事項について、事実と異なることを告げた(勧誘した)といえなくもありません。フェイスブックの投稿を見て買った人は、場合によっては、消費者契約法4条1項1号に基づき、チケット代を返金してもらえる可能性があります」(岡田弁護士)
なお、主催者側によると、ジミー・ペイジさんの演奏を予定していたが、本番直前に彼の意向により、演奏がおこなわれなかったという。岡田弁護士は「主催者の言い分が本当だとしたら、契約内容にもよりますが、主催者はジミー・ペイジさん側に損害賠償できる可能性があります」と話していた。