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運転中の「ポケモンGO」仕様変更で自主規制…弁護士「運転中スマホ利用の罰則強化を」
一定の速度以上で移動中はアイテムやポケモンが出現しない仕様になった。

運転中の「ポケモンGO」仕様変更で自主規制…弁護士「運転中スマホ利用の罰則強化を」

自動車を運転中に「ポケモンGO」を操作していることに起因する交通事故が相次いでいる事態を受けて、スマートフォン向けの人気ゲームアプリ「ポケモンGO」を開発、運営する米ナイアンティック社とポケモン社は11月7日、アイテムを取得する「ポケストップ」と呼ばれる場所で、一定速度以上で移動中はアイテムを取得できないよう仕様を変更した。

これまでは、一定速度以上で移動中はポケモンが出現しない仕様となっていたが、ポケストップでアイテムを入手することは可能だった。今回の対策により、電車などの公共交通機関や車の助手席に乗っているような場合でも、一定速度以上で移動中はゲームの主要な操作はできなくなる。

ポケモンGOの規制については、小学4年の男児がポケモンGOを操作しながら運転していたトラックにはねられ死亡した事故を受け、愛知県一宮市がゲーム運営会社に規制を要望していた。

規制について賛同の声が多く上がる一方で、「ポケモンGOだけでなく、スマホ操作全体の問題」など、ポケモンGOだけに規制を求めることに疑問の声もあがっている。今回の問題についてどう考えればいいのか。猪野亨弁護士に聞いた。

●「規制せよ」という声が上がるのは必然

「ポケモンGO」が登場して以来、違法駐車の横行や立入禁止区域への侵入などポケモンGOの一部の利用者の傍若無人な姿勢もクローズアップされました。そればかりか運転中の「ポケモンGO」の利用によって死亡事故を引き起こされており、先日は小学4年生の男の子がはねられ死亡しました。

そのような中で、「ポケモンGO」に対して「規制せよ」という声が上がるのは必然といえます。

規制といっても場面ごとに考える必要があります。違法駐車はもちろん違法ですし、立入禁止区域に進入すれば住居(建造物)侵入罪、運転中のスマホの操作も道路交通法で禁止されています。

問題なのは、法律で禁止されているにも関わらず、利用者の非常識な行為が目立ったことです。運転中の利用は禁止されているにも関わらず、運転中の「ポケモンGO」を利用する人が後を絶ちませんでした。

一定速度以上の移動中は特定の機能が使えないものの、「運転中ではない」として制限の解除ができたために、システム上の制限とはいえないものでした。そのため、「ポケモンGO」自体を規制してしまえという声が少なからずあるのもそういったことを背景にしています。

●「ポケモンGO」のみを規制するような法律は憲法上許されていない

法律によって「ポケモンGO」のみを対象とした規制法を作ることはできません。法律は一般的・抽象的法規範であることが平等原則から要請されており、「ポケモンGO」のみを規制するような法律は憲法上、許されていません。

簡単に言えば、特定のものごとを「狙い撃ち」にするような法規制をつくることは許されていないということです。

そのため、もし法規制をかけるとすれば、「画面を凝視するようなもので、移動中の利用に制限を掛けられるようなもの」を一般的、抽象的に利用できない設定をする規制する必要があります。

しかし、そうなるとスマホの利用一般にまで効果が及ぶことになり、影響はあまりに大きく、そこまで規制しなければならない立法事実があるのかという問題になります。

他方で、11月7日以降、運営会社は自主的な規制として一定の速度以上で移動しているような場合には車の運転中か否かを問わず、事実上、遊べない設定になりました。

電車など、自分が運転しない状況なのに利用できないことになり、利用者からみれば不合理な自主規制ということになるのでしょう。しかしここまで社会問題化した以上はやむを得ない処置といえます。

このような事情を考慮するとき、全体に網を被せるような規制は現時点では困難と言えるでしょう。

ただやはり、運転中の事故が多いということになると、スマホ利用も同様ですが、罰則として軽すぎはしないかという問題があります。

危険に結びつかない限りは5万円以下の罰金であり、この刑の軽さも利用者に摘発さえされなければいいと安易な気持ちにさせかねません。この点だけでも罰則の引き上げは検討すべきでしょう。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

猪野 亨
猪野 亨(いの とおる)弁護士 いの法律事務所
札幌弁護士会所属。離婚や親権、面会交流などの家庭の問題、DVやストーカー被害、高齢者や障害者、生活困窮者の相談など、主に民事や家事事件を扱う。

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