コロナ禍で利用する機会が増えた人の多いネット通販ですが、弁護士ドットコムにはトラブルをめぐり複数の質問が寄せられています。
相談者はある通販サイトで約7万円の買い物をしました。お金を振り込んだ後、発送完了のメールが来たものの、待てど暮らせど商品は届かず。そのため配送業者の商品追跡番号を検索してみたのですが、番号が間違っていると表示されたのです。
その通販サイトに問い合わせると「分かり次第連絡します」という返答後、購入サイトは無くなり、連絡がつかなくなりました。配送業者に連絡してみると、そのような番号は存在しないと言われてしまい、肩を落としています。
相談者は詐欺を根拠にクーリングオフ制度を活用できないかと考えています。このようなネット詐欺にはどのように対処するべきなのでしょうか。鬼沢健士弁護士に聞きました。
●通信販売は、特定商取引法上のクーリングオフ対象外
ーーネット通販でも詐欺の場合はクーリングオフ制度は活用できますか
通信販売は、特定商取引法上のクーリングオフの対象とされていません。そのため、クーリングオフ制度を使うことができません。
もっとも、そもそも詐欺なのでしたら詐欺を理由に取り消せばいいのです。ただ、いずれにしても法律上可能というだけであり、それが直接的に返金につながるわけではありません。
ーー今回、この相談者はどのように対応すればよいのでしょうか
サイト内に記載されている連絡先に一応連絡して返金を求めてみてください。もし事業者名、住所、電話番号が記載されていないのであれば、その時点で特定商取引法違反です。悪質性が高いサイトであることは確実であり、返金される可能性はほとんどありません。
商品が届かない詐欺の場合、支払手段が銀行振込のみであることが大半です。また、会社口座ではなく、個人口座が振込先になっていることも多いです。
警察署や弁護士に相談したり、振込先口座を凍結するといった手続が考えられますが、被害金額全額を取り返せることはほとんどありません。
なお、クレジットカード決済の場合には、カード会社に相談することで決済を取り消せる場合があります。
●詐欺サイトの見分け方とは?
ーーこの他、ネット詐欺被害にあわないため、どんな注意が必要でしょうか
購入しても商品が届かない詐欺は、人気の品薄商品やプレミアム価格の商品をターゲットにすることが多いです。簡単に買えること自体が珍しいのに割引価格で売っていたり、品薄商品なのに、在庫が豊富とアピールされていることが多いです。
また近年では、正式サイトに似せた偽サイトもあります。メーカーの正式サイトであるか確認を取る必要があります。
詐欺サイトは巧妙に作られているとはいえ、注意するべきポイントがいくつかあります。人気の品薄商品が不自然に安い、サイトをよく読んでみると不自然な日本語や漢字がある、支払手段が個人名義口座への振り込みのみ、特定商取引法に基づく表記(会社概要などの表記の場合もあります)がない、などの特徴があることが大半です。
その商品を探している人にとっては品薄のはずの商品が、しかも安く売っているので飛びついてしまいがちですが、買う前に冷静になり、不自然な点がないかの確認が必要です。見慣れないサイトの場合には、そのサイト名で一度ネット検索してみてもいいでしょう。詐欺サイトである場合には一定の情報が出てくることが多いです。
この手の詐欺は被害回復が容易ではありませんので、被害に遭わないように注意して通販を利用してください。