1万円分の商品券が「20人」に当たるところを、誤ってメールマガジンに登録していた「2622人全員」に当選メールを送ってしまったーー。
防府競輪(山口県)のプレゼントキャンペーンで9月30日、痛恨のミスが起きた。委託された業者の手違いだという。なお、個人情報の流出はなかったそうだ。
運営側の真意はともあれ、受け取った側からすれば「当選メール」には違いない。ミスとはいえ、送ってしまった以上はプレゼントしないといけないのだろうか。法的にどう考えられるかを冨本和男弁護士に聞いた。
●「当選メール」と「当選した事実」は別
ーーメールを根拠に、商品券をもらうことはできるのでしょうか?
誤って送られてきた「当選メール」を根拠に、商品券1万円の権利を主張することはできないと考えます。
当選したという事実がないからです。
「当選メール」は、当選したという事実を伝えるものですが、当選は抽選等によって決まり、「当選メール」が届いたことによって決まるわけではないからです。
仮に「当選メール」内に、当選したので「商品券1万円をプレゼントします」という意思表示が含まれていた場合、事実を誤認した意思表示であり、重要な誤認ですので、要素の錯誤(民法95条)に当たり、取り消すことができると考えます。
●「多大なるご迷惑をおかけしました」
ミスが分かったとき、担当者は青ざめただろうが、法律上は本来決まったプレゼント額だけで済むようだ。
防府市産業振興部競輪局によると、同日中に「本当の当選者」20人に、当選メールを送りなおしたという。残る2602人は「ぬか喜び」だったということになる。
同局はHPで「多大なるご迷惑をおかけしました」と謝罪している。