2020年04月09日 15時01分

ネットの名誉毀損、被害者の泣き寝入りが増える? 緊急事態宣言が裁判に与える悪影響

山下真史 山下真史
ネットの名誉毀損、被害者の泣き寝入りが増える?  緊急事態宣言が裁判に与える悪影響
東京地裁・高裁(YNS/PIXTA)

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、政府は緊急事態宣言を発令しました。この影響は、裁判や弁護士の業務、さらに法律上困っている人たちにも大きな影響を与えそうです。

たとえば、東京地裁は、4月8日から5月6日にかけて実施予定だった民事事件・行政事件の期日うち、下記の例外をのぞいて取り消しました。

(1)民事保全事件、(2)DV事件、(3)人身保護事件、(4)民事執行事件のうち特に緊急性のあるもの、(5)倒産事件のうち特に緊急性のあるもの

東京以外の対象地域にある裁判所も、ほとんど同じような対応となっています。

インターネット関連の事件をあつかっている平野敬弁護士は「発信者情報開示請求にクリティカルな影響がある」と警鐘を鳴らしています。

●ログが失われる可能性

平野弁護士によると、たとえば、匿名掲示板における誹謗中傷の場合、発信者情報開示は次のような手順になっています。

(a)掲示板管理者からIPアドレスの開示を受ける
(b)IPアドレスを管理するISP(インターネット・サービス・プロバイダ)を特定する
(c)ISPに対して、IPアドレスに紐づく契約者情報の開示を請求する

「問題は、ISPでのログ保存期間が法定されていないことです。ISPによって運用ポリシーが異なりますが、短いものですと、90日程度でログが削除されてしまいます。

このため、たとえば4月1日に誹謗中傷が投稿されたとすると、(a)から(c)までの手順を6月30日までにおこなわなければなりません。被害者が投稿に気づくまでの時間、弁護士に相談して契約するまでの時間を含めると非常にタイトです。

掲示板管理者やISPが業務を停止して情報開示をストップすると、ログ消失のため救済を得られない人が出てきます」(平野弁護士)

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