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"自転車で飲酒運転"経験問う「クモ膜下出血で入院した」「自転車なら…家族も黙認」「酔っ払いに轢かれた側です」
自転車事故のイメージ(yamasan / PIXTA)

"自転車で飲酒運転"経験問う「クモ膜下出血で入院した」「自転車なら…家族も黙認」「酔っ払いに轢かれた側です」

「軽くビールを1杯飲んで転倒し、外傷性クモ膜下出血になりました」

お酒を飲む機会が増える年末年始。帰省先や旅行先で気がゆるみ、飲酒運転してしまうケースも懸念される。乗用車なら自制できても、自転車なら大丈夫と考えている人はいないだろうか。言うまでもなく、自転車でも飲酒運転は道交法違反だ。

弁護士ドットコムニュースが「自転車などの飲酒運転」の体験募集を呼びかけたところ、多くのメッセージが届いた。

●「自転車ならよい」家族や地域全体が黙認していないか

「自転車なら飲酒運転でも大丈夫だと思ってる人が多すぎます」

医療従事者(40代・女性)からの声です。医療機関で働き、アルコール関連障害の患者と接しています。そうした患者の中には、自転車の飲酒事故に遭った人も。

「飲酒し自転車に乗り、事故に遭い(対車が多い)、ケガをしても飲酒運転なので警察や保険屋と揉めてます。飲酒後の自転車は車じゃないからと多くの家族も黙認してますが、飲酒運転には変わりない事が広く認知されてほしいです」

この女性によると、事故を起こしても、酩酊しているので、事故状況は不明な事が多かったという。

「自転車なら人は轢かないから安全で、車で事故を起こすよりいいとして、自転車の飲酒運転を家族や地域全体が黙認しているように見受けられます。自転車も飲酒運転になることを純粋に知らない方も多いと思います。酩酊下でも運転できる人が家に他にいないからと、飲酒運転させてしまう方もいました」

画像タイトル 自転車事故のイメージ(ペイレスイメージズ1(モデル) / PIXTA)

今回の取材に回答してくれた人の半数以上は、自転車等の飲酒運転は「経験ない」と答えたが、過去から現在まで「ある」と答えた人も一定数存在した。

●飲酒運転の結果「ビール1杯でクモ膜下出血に」「タクシー代ケチって入院」

「いつものように忙しい一日の仕事が終わり、軽くビールを1杯飲み自転車で帰る途中に単独事故を起こし転倒。ヘルメットを被っておらず、倒れたため、外傷性クモ膜下出血になり鎖骨を骨折し入院するはめになってしまいました」(65歳・奈良県・飲食店勤務)

「私の父が50代のころの体験談ですが、飲み会の会場がバスでは行けなかったため自転車で行きました。帰り道に飲みすぎて酩酊して転倒し、通りすがりの人に通報してもらって救急搬送されました。頭を打っている可能性があり、1泊の入院と1週間の通院の結果に。帰りのタクシー代をケチった結果、15万円くらいの出費となってしまいました」(東京都三鷹市)

「自転車で飲酒運転なら20年前くらいに一度しましたが、今は規制も厳しくなっているのでしません」(記載なし)

●飲酒運転の自転車に轢かれた「警察は飲酒の自転車に甘い」

自分が自転車にぶつけられたり、自損事故を目撃したりした人たちは「警察も甘かった」と苦言を投げかける。

画像タイトル 自転車の飲酒運転(ビリケン / PIXTA)

「私が30代ごろの話ですが、すぐ近所のドラッグストアに歩いて買い物に行った帰り道で後ろから来た酔っぱらいの自転車にぶつけられました。自転車が無灯火だったので私も気が付かず転ぶし足はひねるし散々でした。警察を呼びましたが蛇行していたほど酔っていた自転車には簡単な注意でした」(54歳・群馬県館林市・介護職)

「車で走行中に前を走っている酔っぱらいのオッサンが自転車ごと落ちた。110番したら、現着した警察官に『お前が当てたんちゃうか?』といきなり言われた。ドラレコが無ければ冤罪にされるところだ。2020年5月頃、コロナ禍で外出自粛期間の夜中に仕事帰りでの深夜の出来事だったと記憶している」(54歳・大阪府・録音技師)

●岐阜から京都まで、親戚の飲みの席で酔った夫が運転

自転車でなく、乗用車の飲酒運転にまつわるエピソードも届いた。「文化」が背景にあると投稿者は指摘する。自転車の飲酒運転との共通点もありそうなので、最後に紹介したい。

およそ30年前に「当時の文化」を理由として、夫が乗用車の飲酒運転をしていたという女性(59歳・会社員)からの投稿だ。

親族が夫の実家に集まり、宴席が設けられたという。夫と女性はそれぞれ30代、20代だった。酒が皆に振る舞われたが、女性は「頑なに飲みませんでした。そのことで全員を敵に回した感じになってしまいました。夫にも『トラブルメーカー』と言われました」と話す。

散会後、岐阜県にある実家から京都府の自宅まで、飲酒した夫がハンドルを握った。

「酔っ払い運転で怖かったです。運転を代わると言ったり、危ない時に注意したりした私に夫はひどく腹を立てていました。夫のプライドを傷つけたのだと思います。『場がしらける、空気が読めない』と言われました。言うことを聞かない嫁だと思われたようです」

法改正により厳罰化が進むとともに、夫は飲酒運転をやめたそうだ。

「今は飲酒運転が法律で禁止されているのでとてもありがたいです。私の価値観では人の命が1番ですので、世間体より安全運転で事故を起こさないことが何より大事です。

私もお酒で酔っ払った経験はたくさんあります。まっすぐに歩けなかったり、ぼーっとしたり、気持ちが大きくなったりしました。頑なに飲まなかった理由は、私が小心者なのか悲観的なのか、酔っ払った状態で無事故運転する自信がなかったからです」

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